一定の要件を満たす外国子会社から受ける配当は、その95%相当額が益金に算入されません(法人税法23条の2第1項)。残りの5%は費用相当額として控除されるため、益金に残ります。
海外子会社の利益を日本に戻す設計で、最初に確認する条文です。
条文の定義
法人税法第23条の2第1項。
内国法人が外国子会社(当該内国法人が保有しているその株式又は出資の数又は金額がその発行済株式又は出資(その有する自己の株式又は出資を除く。)の総数又は総額の百分の二十五以上に相当する数又は金額となつていることその他の政令で定める要件を備えている外国法人をいう。……)から受ける前条第一項第一号に掲げる金額(……「剰余金の配当等の額」という。)がある場合には、当該剰余金の配当等の額から当該剰余金の配当等の額に係る費用の額に相当するものとして政令で定めるところにより計算した金額を控除した金額は、その内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上、益金の額に算入しない。
控除する費用の額は、法人税法施行令第22条の4第2項が「剰余金の配当等の額の百分の五に相当する金額」と定めています。95%不算入と呼ばれるのはこのためです。
外国子会社の要件
法人税法施行令第22条の4第1項が定めています。
| 要件 | 内容 |
|---|---|
| 割合 | 発行済株式等に占める保有割合、又は議決権のある株式等に占める保有割合のいずれかが25%以上 |
| 期間 | その状態が、剰余金の配当等の額の支払義務が確定する日以前6月以上継続していること(その外国法人が確定する日以前6月以内に設立された法人である場合には、設立の日から確定する日まで) |
「配当をもらう時点で25%持っていればよい」ではありません。6月以上の継続保有が条文に書かれています。
ただし、同条第6項は、適格合併・適格分割・適格現物出資により25%以上に相当する株式等の移転を受けた場合、被合併法人等が保有していた期間を内国法人が保有していた期間とみなすとしています。同条第7項は、租税条約の二重課税排除条項に25%未満の割合が定められている場合の読替えを定めています。
適用しない場合がある
法人税法第23条の2第2項は、一定の剰余金の配当等の額について第1項を適用しないとしています。第1号が挙げるのは、その配当等の額の全部又は一部が、外国子会社の所在地国の法令において、その外国子会社の所得の金額の計算上損金の額に算入されることとされている場合です。
いわゆる損金算入配当です。海外側で損金になる配当は、日本側でも益金不算入にならないという組み合わせが条文で塞がれています。
注意すべきは、一部でも損金算入されていれば、原則としてその配当等の額の全体が対象外になることです(2項1号は「全部又は一部が……該当する場合におけるその剰余金の配当等の額」と書いています)。損金算入に対応する部分だけを外す扱いは、同条第3項の「……とすることができる」という選択であり、同条第7項が別に要件を置いています。
見落としやすい点 ── 外国源泉税の扱い
法人税法第39条の2は、第23条の2第1項の適用を受ける剰余金の配当等の額(同条第2項の適用を受ける部分の金額を除く)に係る外国源泉税等の額は、損金の額に算入しないとしています。
それだけではありません。法人税法施行令第142条の2(外国税額控除の対象とならない外国法人税の額)第7項第3号は、この外国子会社から受ける剰余金の配当等の額に係る外国法人税の額を、控除対象外国法人税から除いています。
損金にもならず、外国税額控除にもなりません。現地で源泉徴収された税は、そのままコストとして残ります。だからこそ、租税条約による源泉税率の確認が設計上の分かれ目になります。
申告要件
法人税法第23条の2第5項は、確定申告書・修正申告書・更正請求書に、益金の額に算入されない剰余金の配当等の額及びその計算に関する明細を記載した書類の添付があり、かつ、財務省令で定める書類を保存している場合に限り適用するとしています。益金不算入となる金額は、記載された金額を限度とします。同条第6項に、保存がなかったことについてやむを得ない事情があると税務署長が認めるときの定めがあります。
実務で迷いが生じるところ
- 25%の要件は、租税条約で下がることがあるのか。施行令22条の4第7項に読替えの定めがあります。どの条約が該当するかは条約ごとの確認が必要です
- 持株比率を6月以上維持していたかは、どう証明するのか。資料の保存が問題になります
- みなし配当は対象になるのか。法人税法24条1項と、23条の2第2項2号の除外を見る必要があります
- 現地の源泉税率を下げられないか。租税条約の配当条項の確認が必要です
- タックスヘイブン対策税制で合算された子会社からの配当はどうなるか。別の条文の調整規定があります
- 配当ではなく貸付金の返済や株式の譲渡で資金を戻す場合はどうか。課税関係がまったく変わります
海外子会社からの資金の戻し方は、配当・利子・使用料・譲渡のどれを選ぶかで税負担が変わります。設計する前にご相談ください。
根拠条文
- 法人税法第23条の2(外国子会社から受ける配当等の益金不算入)
- 法人税法施行令第22条の4(外国子会社の要件等)
- 法人税法第39条の2(外国子会社から受ける配当等に係る外国源泉税等の損金不算入)
- 法人税法第69条(外国税額の控除)
- 法人税法施行令第142条の2(外国税額控除の対象とならない外国法人税の額)
- 各租税条約の配当に関する規定
個別の判定には事実関係の確認が必要です。
本稿は2026年9月6日時点の法令に基づく一般的な解説です。実行の前に必ず個別にご相談ください。
記載には注意を払っていますが、誤りにお気づきの際はお問い合わせよりご一報いただけると幸いです。










