国際税務相談
海外移住で人生を
変えたいあなたに。
富裕層のキャピタルフライトが注目を集めています。
資産をどこで運用し、家族とどこで暮らすか。その選択によって、手元に残るお金も、お子さまの教育も、これからの人生も変わります。シンガポールやドバイへの移住は、税金の問題と家族の将来を一緒に考える選択です。
ただし、海外に住めば自動的に日本の税金がかからなくなるわけではありません。移住前・移住時・移住後。それぞれの段階で、確認すべき税務があります。
野村総合研究所の推計では、金融資産から負債を差し引いた「純金融資産」が1億円以上の富裕層・超富裕層は、日本に2023年時点で165.3万世帯。2000年の83.5万世帯から、約2倍になっています。
日本の富裕層・超富裕層の世帯数
2000〜2023年 / 純金融資産1億円以上 / 単位:万世帯
キャピタルフライトとは、国内から海外へ資本が流出する「資本逃避」のことです。その背景を考えるうえで、所得税や相続税といった税負担も、無視できないテーマです。
なぜ、シンガポールやドバイなのか。
資産を築いた後は、「いくら稼ぐか」だけでなく、「どれだけ残し、次の世代へつなぐか」が大きなテーマになります。同じ資産を同じ利回りで運用しても、運用益への課税が違えば、再投資できる金額が変わります。その差は、年を重ねるほど積み上がります。
シンガポールでは、個人投資としての株式などの売却益は一般に非課税です。ドバイを含むUAEでも、個人の立場で行う投資による所得は、法人税の対象となる事業所得と区別されています。ただし、事業として行う取引や、投資先の国で徴収される税金までなくなるとは限りません。
移住先を選ぶ際には、税制に加えて、お子さまをどのような環境で育てたいか、仕事の拠点をどこに置くか、日本との往来をどうするかも重要です。配偶者やお子さまと一緒に、新しい暮らしを始める。そのためには、家族の希望と資産・事業の状況を合わせて検討する必要があります。
制度の参考:シンガポールIRAS・個人の投資売却益 / UAE連邦税務庁・個人への法人税の適用
移住すれば、日本の税金はかからない?
海外には相続税に相当する税がない国があります。例えばシンガポールでは、2008年に相続税に相当するEstate Dutyが廃止されています。ドバイを含むUAEにも、相続税・遺産税はありません。
日本の相続税は、海外へ移住し、財産を海外に移せば、それだけで課税されなくなるというものではありません。亡くなる方と財産を受け取る方の住所や国籍、過去の居住歴などによって、国外財産も課税対象になります。
一方で、一定の条件を満たせば、国外財産が日本の相続税の課税対象とならない場合があります。
また、日本の所得税では、居住者は原則として全世界の所得が課税対象になりますが、非居住者は原則として国内源泉所得のみが課税対象になります。
つまり、ご自身の海外移住と資産の持ち方を適切に検討することで、日本の所得税や相続税の負担が変わる可能性があるわけです。
しかも、諸外国には、預金利子などの金融所得を一定の条件で非課税とする国もあります。所得の種類や源泉地、移住先の制度によっては、日本でも移住先でも課税されない場合があります。
ただし、その前提となる非居住者の判定や、相続税の適用条件は、個別の事情に即して確認する必要があります。
同じ5億円でも、10年後には約6,383万円の差。
金融資産5億円を毎年5%で運用し、毎年2,000万円を生活費に使うとします。運用益を毎年すべて実現して納税する日本のモデルと、運用益への課税がないモデルでは、10年後にどれだけ差がつくでしょうか。
生活費を使いながら運用した、10年間の資産推移
開始時5億円 / 年利5% / 生活費 年2,000万円
日本のモデル・10年後約4.99億円運用益に毎年20.315%課税
非課税モデル・10年後約5.63億円運用益への課税なし
10年後の差は、約6,383万円。
どちらも、10年間で合計2億円の生活費を使った後の金額です。
各年末の資産額を見る
| 年後 | 日本 | 非課税モデル |
|---|---|---|
| 0 | 50,000万円 | 50,000万円 |
| 1 | 49,992万円 | 50,500万円 |
| 2 | 49,984万円 | 51,025万円 |
| 3 | 49,975万円 | 51,576万円 |
| 4 | 49,967万円 | 52,155万円 |
| 5 | 49,957万円 | 52,763万円 |
| 6 | 49,948万円 | 53,401万円 |
| 7 | 49,938万円 | 54,071万円 |
| 8 | 49,927万円 | 54,775万円 |
| 9 | 49,917万円 | 55,513万円 |
| 10 | 49,906万円 | 56,289万円 |
試算条件:各年初の資産に5%の利益が生じ、利益を全額実現。納税後、各年末に生活費2,000万円を控除し、残額を翌年の運用元本としています。日本は上場株式等の譲渡益などを想定した税率20.315%を10年間一定と仮定。含み益に毎年課税されるという意味ではありません。
比較の開始時点は、どちらも手元の金融資産が5億円ある状態です。国外転出時課税や移住費用は、この5億円から差し引いていません。非課税モデルは投資先国の源泉税も含めた運用益への税負担を0%と置いた仮定であり、シンガポール・ドバイへの移住だけで実現するとは限りません。手数料、為替・物価変動、損失、税制改正は考慮していません。運用成果を保証するものではありません。
税率の参考:国税庁・株式等を譲渡したときの課税。当事務所による条件付き試算。
初年度の運用益は、どちらも2,500万円です。日本のモデルでは507万8,750円を納税し、税引後の運用益は1,992万1,250円。生活費2,000万円に7万8,750円足りず、元本をわずかに取り崩します。翌年は元本が減った分だけ運用益も減り、取り崩し額が少しずつ増えていきます。
非課税モデルでは、生活費を引いた500万円を再投資できます。その増えた元本にも翌年から利益が生まれるため、複利の効果で資産が増えていきます。
10年後、日本のモデルは開始時から約94万円減少する一方、非課税モデルは約6,289万円増加します。同じ利回り、同じ生活費でも、税引後に再投資する余裕が残るかどうかで、資産の推移が分かれるのです。
「出国税」があるからこそ、移住前の検討が重要です。
海外移住を考える富裕層にとって、見落とせないのが「国外転出時課税」、いわゆる出国税です。2015年7月から導入され、対象資産が1億円以上あり、原則として出国前10年以内の国内居住期間が合計5年を超えるなどの条件を満たす方が対象になります。
一定の有価証券などについて、実際には売却していなくても、出国時に売却したものとみなして含み益に課税する制度です。資産額そのものに課税する制度ではありませんが、売却代金が入らないまま納税資金が必要になる場合があります。
出国税があるから海外移住が増えている、と単純に言い切ることはできません。むしろ、移住する時点でも税負担が生じ得る制度です。だからこそ、移住後の税率だけで判断せず、保有資産の種類・取得価額・含み益、事業や株式の売却予定、移住時期まで含めて検討することが大切です。一定の条件のもとで納税猶予を受けられる制度もあります。
住民票を抜いたり、海外のビザを取得したりするだけで、日本の税務上の非居住者になるわけでもありません。住まい、仕事、家族などの実態を踏まえ、移住後も日本に残る所得や財産と合わせて確認する必要があります。
制度の参考:国税庁・国外転出時課税制度 / 居住者と非居住者の区分
弊事務所は、これまで約200人の海外移住をサポートしてきました。
そんな夢物語を実現するのは非現実的と思われるかもしれませんが、その夢物語を実現している人たちは、実際に多く海外で見かけます。
税金のためだけとおっしゃる方もいますが、税金はどちらかと言うとおまけみたいなもので、「これからの世界を考えたら、グローバルに生きていくのは当たり前」「こどもの教育を考えたら、やはり海外」という方も多くいらっしゃいます。
当事務所は、これまで約200人の海外移住をサポートしてきました。
シンガポールやドバイへの移住をはじめ、もしあなたが海外移住で人生を変えたいなら、ぜひご相談ください。
高度な専門知識とアイディアを分かりやすくお伝えし、豊富な事例とともにご説明します。
海外移住・国際税務の関連記事
- 所得税法上の居住者とは(住所の判定)
- 非居住者は何で決まるのかーー滞在日数・第三国・家族・仕事を過去の税務訴訟から読み解く
- 国外転出時課税の納税猶予――出国前の手続から、売却・帰国・相続まで
- 国外転出(贈与・相続)時課税とは
- 居住者判定に日数基準がないのは日本だけか――13か国の「resident」を比べる
