
暗号資産の事業を考えた頃から、
株主として見守っていただく関係へ。
柳澤先生と初めてお話ししたのは、たしか2018年の「Proof of Drink」というイベントでした。暗号資産がまだ「仮想通貨」と呼ばれていた頃のことです。懇親会でお酒を飲みながら話したことが、その後のお付き合いにつながっています。
先生との関係には、大きく二つの時期があります。一つは、私がリアルワールドゲームス株式会社に関わっていた頃の、アルクコインのプロジェクト。もう一つは、現在のJPYCにつながる事業を始めてからです。最初は事業の税務を相談する専門家として、その後は株主という立場でも、長く関わっていただいています。
新しい事業の構想を、税務・会計の面から一緒に考える
2018年頃、リアルワールドゲームスでは、歩くこととブロックチェーンを組み合わせた「アルクコイン(Aruku Coin)」のプロジェクトに取り組んでいました。柳澤先生には、このプロジェクトに関する税務・会計の支援をお願いしました。
当時の難しさは、税務だけではありませんでした。そもそも構想している事業が資金決済法に抵触しないか、必要な登録などの業規制をどう考えるか。税金の計算に進む前に、法務の面から確認しなければならないことがありました。
先生にお願いしたのも、毎年の決算や申告を中心とする顧問業務というより、プロジェクトの構想に即して税務・会計上の論点を検討していただく仕事でした。トークンを用いた資金調達や配分、協力者へのトークンの付与、海外が関係する場合の税務など、事業を具体化していくうえで考えなければならないことがありました。
事業として何を実現したいのかという「ビジネス」、法令や業規制との関係を考える「リーガル」、会計処理や課税関係を整理する「タックス」。この三つは、どれか一つを決めれば済むものではなく、互いに関わり合っています。法務上の条件によって事業の組み立てが変わり、それによって税務上の検討も変わる。行き来しながら考える必要がありました。
法務の判断には弁護士などの専門家の知見が必要ですが、その前提を理解したうえで、事業と税務をつないで相談できる税理士は、当時なかなか見つかりませんでした。柳澤先生には、私たちが何を実現しようとしているのか、法務上どのような課題があるのかも踏まえて、税務・会計の検討を進めていただきました。税務だけを切り離さず、事業全体の話ができることが大切だったと思います。
JPYCの前身企業にも、8D LLPを通じて関わっていただく
その後、私は現在のJPYC株式会社の前身となる、日本暗号資産市場株式会社を創業しました。柳澤先生とは、その頃にも事業についてお話しする機会がありました。
先生が参画するエンジェルファンドの8D LLPには、まだ社名が日本暗号資産市場株式会社だった、ごく初期の段階から外部株主として参画していただきました。現在のJPYCへとつながる歩みを、早い時期から見守っていただいています。
以前のプロジェクトでは税務の相談相手だった先生が、今度は株主としても関わってくださることになりました。同じ暗号資産・ブロックチェーンの分野でも、事業や私自身の立場が変わるなかで、お付き合いの形も変わってきたのだと思います。
事業の話も、それ以外の話もできる関係
当時のオフィスは、芝公園の「猫来坊ビル(ねこらいぼうビル)」にありました。柳澤先生には、そこへ遊びに来ていただき、一緒にお酒を飲むこともありました。私も先生の事務所には何度も飲みに伺っています。最初にお会いしたのも懇親会でしたが、その後もお互いのオフィスを行き来しながら、仕事の話に限らず、お酒を交えて話す関係が続いています。
新しい事業に取り組んでいると、まだ世の中で十分に理解されていない構想を、人に説明しなければならないことがあります。税務の論点を相談するだけでなく、事業そのものについて話せる相手がいることは心強いものです。
アルクコインの頃から、現在のJPYCへ。事業の段階や関わり方が変わっても、以前からの経緯を知っている先生と話ができる。そのような長いお付き合いが続いています。
プロフィール
岡部 典孝(おかべ のりたか)
JPYC株式会社 代表取締役。
2019年、日本暗号資産市場株式会社(現・JPYC株式会社)を創業。日本円ステーブルコイン「JPYC」に関する事業に取り組む。技術とファイナンスの両面に携わってきた経験を持つ。

