国際税務の基礎知識

非関連者基準・所在地国基準とは

経済活動基準の4つ目です。業種によって、見る基準が変わります。卸売業なら取引の相手方(非関連者基準)、それ以外なら事業を行う場所(所在地国基準)。どちらか一方だけを見ます。

条文

租税特別措置法第66条の6第2項第3号ハ。

各事業年度においてその行う主たる事業が次に掲げる事業のいずれに該当するかに応じそれぞれ次に定める場合に該当すること。

(1) 卸売業、銀行業、信託業、金融商品取引業、保険業、水運業、航空運送業又は物品賃貸業航空機の貸付けを主たる事業とするものに限る。) その事業を主として当該外国関係会社に係る……居住者、内国法人その他これらの者に準ずる者として政令で定めるもの以外の者との間で行つている場合として政令で定める場合

(2) (1)に掲げる事業以外の事業 その事業を主としてその本店所在地国(当該本店所在地国に係る水域で政令で定めるものを含む。)において行つている場合として政令で定める場合

(1)が非関連者基準、(2)が所在地国基準です。

対象業種 何を見るか
非関連者基準(1) 卸売業/銀行業/信託業/金融商品取引業/保険業/水運業/航空運送業/物品賃貸業(航空機の貸付けを主たる事業とするものに限る) 取引の相手方が非関連者か
所在地国基準(2) 上記以外の事業 事業を本店所在地国で行っているか

物品賃貸業には限定が付いています。物品賃貸業一般ではなく、航空機の貸付けを主たる事業とするものに限る。それ以外の物品賃貸業は(2)の所在地国基準です。

なおロの読み替え(統括会社は統括業務、外国金融持株会社等は経営管理)が、ハにも及びます(ロの括弧書き「ハにおいて同じ」)。

非関連者基準 ── 業種ごとに分母が違う

措令39条の14の3第28項が、業種ごとに別々の分数を定めています。「50%超」は共通ですが、何を分母に取るかが号ごとに違います。

業種 判定
1号 卸売業 販売取扱金額のうち非関連者取引の割合が50%超 又は 仕入取扱金額のうち非関連者取引の割合が50%超
2号 銀行業 受入利息のうち非関連者から受けるものの割合が50%超 又は 支払利息のうち非関連者に支払うものの割合が50%超
3号 信託業 信託報酬のうち非関連者から受けるものの割合が50%超
4号 金融商品取引業 受入手数料有価証券の売買による利益を含む)のうち非関連者から受けるものの割合が50%超
5号 保険業 収入保険料のうち一定の金額の合計額の割合が50%超
6号 水運業・航空運送業 船舶・航空機の運航及び貸付けによる収入金額のうち非関連者から収入するものの割合が50%超
7号 物品賃貸業(航空機の貸付けを主たる事業とするもの) 航空機の貸付けによる収入金額のうち非関連者から収入するものの割合が50%超

1号と2号は「又は」で2つの分数が並びます。卸売業は売りと仕入れのどちらかが50%超なら足ります。3号以降は1つだけです。「売上の50%超が非関連者」で全業種を通そうとすると、間違えます。

卸売業の「販売取扱金額」「仕入取扱金額」には、いずれも、売買の代理・媒介の手数料を受け取る基因となった売買の取引金額が含まれます(1号の括弧書き)。手数料の額ではなく、取引金額です。同じ括弧書きが売り側と仕入れ側の両方に付いています。

「関連者」は6つの号で広く定義されている

措令39条の14の3第27項が、法66条の6第1項各号の内国法人・措法40条の4第1項各号の居住者に加えて、次の者を関連者としています。

誰か
1号 内国法人が通算法人である場合の他の通算法人
2号 その内国法人の発行済株式等の50%超を有する者
3号 通算親法人の発行済株式等の50%超を有する者
4号 措法40条の4第1項各号の居住者又は66条の6第1項各号の内国法人に係る被支配外国法人(=実質支配されている外国法人)(2号3号に当たるものを除く)
5号 間接保有の連鎖に介在する他の外国法人・出資関連外国法人
6号 その外国関係会社自身、上記の居住者・内国法人、および1号〜5号の者と、措法66条の6第1項4号の政令で定める特殊の関係のある者

親会社の株主も関連者です。2号は「内国法人の発行済株式等の50%超を有する者」。日本の親会社を支配している者との取引は、非関連者取引に数えません。

迂回取引はみなし規定で潰される

措令39条の14の3第29項。2つの型を、関連者との取引とみなします。

外国関係会社と非関連者との間で行う取引(「対象取引」)により当該非関連者に移転又は提供をされる資産、役務その他のものが当該外国関係会社に係る関連者に移転又は提供をされることが当該対象取引を行つた時において契約その他によりあらかじめ定まつている場合における当該対象取引

非関連者を1枚かませても、その先が関連者だと最初から決まっていれば、関連者取引です。2号は逆向き(関連者→非関連者→外国関係会社)の型を拾っています。

「あらかじめ定まつている場合」が要件です。結果的にそうなった、というだけでは条文の文言に当たりません。ここは事実認定の問題になります。

卸売業の統括会社には、逆向きの特例がある

措令39条の14の3第30項。関連者の範囲を狭める規定です。

外国関係会社(第二十八項第一号に掲げる事業〔=卸売業〕を主たる事業とするものに限る。……)が統括会社に該当する場合における前二項の規定の適用については、同号及び前項に規定する関連者には、当該外国関係会社に係る外国法人である被統括会社を含まないものとする

卸売業を主たる事業とする統括会社では、外国法人である被統括会社との取引が非関連者取引に数えられます。これがないと、地域統括会社の卸売取引はグループ内ばかりで非関連者基準を満たさない、という結論になってしまいます。

統括会社には2つのルートがあることに注意してください。

統括会社の型 ハの判定
株式等の保有を主たる事業とする統括会社(3号イ(1)) ロの読み替えにより、主たる事業が統括業務になる。統括業務は(1)の列挙業種のどれにも当たらないので、(2)の所在地国基準で判定する(措令39条の14の3第32項柱書・4号。統括業務を主として本店所在地国で行っているか)
卸売業を主たる事業とする統括会社 主たる事業は卸売業のまま。非関連者基準(28項1号)で判定し、30項により外国法人である被統括会社を関連者から外す

「統括会社なら統括業務を見る」で一本化できません。卸売型はこちらのルートです。

所在地国基準 ── こちらも業種ごとに書き分けられている

措令39条の14の3第32項。

業種 判定
1号 不動産業 主として本店所在地国にある不動産の売買・貸付け、その代理・媒介、管理を行っている場合
2号 物品賃貸業(航空機の貸付けを主たる事業とするものを除く) 主として本店所在地国において使用に供される物品の貸付けを行っている場合
3号 製造業 主として本店所在地国において製品の製造を行っている場合(製造における重要な業務を通じて製造に主体的に関与していると認められる場合として財務省令で定める場合を含む
4号 上記以外 主として本店所在地国において行っている場合

3号の括弧書きが実務では効きます。自社工場を持たない、いわゆる来料加工・委託製造の形でも、「製造における重要な業務を通じて製造に主体的に関与している」と認められれば所在地国基準を満たし得ます。ただし細目は財務省令に委任されています。政令の文言だけで判断できません。

水域の括弧書き(法3号ハ(2))は、措令39条の14の3第31項が「本店所在地国に係る内水及び領海並びに排他的経済水域又は大陸棚に相当する水域」と定めています。海洋資源開発などで意味を持ちます。

実務で迷いが生じるところ

  • 卸売業は売上と仕入れのどちらで見るのか。どちらかが50%超なら足ります(1号)
  • 製造業なのに工場がありません。3号の括弧書きと財務省令の確認です
  • 航空機リースはどちらの基準か。(1)の非関連者基準です。それ以外の物品賃貸業は(2)
  • 商社を通した取引は非関連者取引か。29項1号のみなしに当たらないかを見ます
  • 親会社の大株主との取引は。27項2号により関連者です
  • 統括会社の場合は何を見るのか。株式保有型は統括業務に読み替わります。卸売型は卸売業のままで、30項により外国法人被統括会社が関連者から外れます

非関連者基準は、取引先リストを作るところからです。誰が関連者かの範囲が条文で広く取られているため、感覚で「非関連者が過半」と思っていても数字が合わないことがあります。海外子会社の取引構成にご不安があれば、直近期の売上・仕入の相手方別内訳をご用意のうえご相談ください。

根拠条文

  • 租税特別措置法第66条の6第2項第3号ハ(非関連者基準・所在地国基準)、同号ロ(主たる事業の読み替え)
  • 租税特別措置法施行令第39条の14の3第27項(関連者の範囲)、第28項(非関連者基準)、第29項(関連者取引とみなす取引)、第30項(卸売業を主たる事業とする統括会社に係る関連者の特例)、第31項(水域)、第32項(所在地国基準)
  • 租税特別措置法第40条の4第1項各号(居住者に係る規定)

保険業に関する5号の細目、製造業に係る財務省令の内容は本稿では扱っていません。個別の判定には取引の相手方と事業の実態の確認が必要です。

本稿は2026年9月6日時点の法令に基づく一般的な解説です。実行の前に必ず個別にご相談ください。

記載には注意を払っていますが、誤りにお気づきの際はお問い合わせよりご一報いただけると幸いです。

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