税務調査の基礎知識

附帯税の全体像

税務調査の指摘を受けたとき、本税のほかに何がいくら乗るのか。その全体を定めているのが国税通則法の附帯税の規定です。

この記事は、指摘を受けた納税者と関与税理士が、負担の全体像をつかみ、どの条文に当たればよいかを見つけるための入口です。個々の税目は、それぞれの記事に分けて書いています。

附帯税は6種類

国税通則法第二条第四号は、附帯税を「国税のうち延滞税、利子税、過少申告加算税、無申告加算税、不納付加算税及び重加算税をいう」と定義しています。この6つがすべてで、それ以外は附帯税ではありません。

印紙税の過怠税は、この定義に入っていません。第六十条第一項第三号でも、不納付加算税・重加算税と並べて過怠税が別に掲げられています。地方税の延滞金・加算金も、国税通則法の附帯税ではなく地方税法の規定によります。

二つの系統に分かれる

6種類は性格の違う二つの系統に分かれます。

ひとつは期間に対応するものです。延滞税は、納期限までに納めなかった期間に応じてかかります。利子税は、延納や物納、申告期限の延長を認められた場合に、その期間についてかかります(第六十四条)。延滞税が遅れに対するもの、利子税が正規に認められた猶予に対するものという違いです。

もうひとつは申告・納付の態度に対応するもので、4種類の加算税です。第六十九条はこの4つをまとめて「加算税」と呼んでいます。

4つの加算税の使い分け

どれが課されるかは、期限内に申告書を出していたか、何が足りなかったか、隠蔽・仮装があったかで決まります。

  • 期限内申告書を出していて、あとから修正申告や更正があった場合 ―― 過少申告加算税(第六十五条)
  • 期限内申告書を出しておらず、期限後申告や決定があった場合 ―― 無申告加算税(第六十六条)
  • 源泉徴収等による国税を法定納期限までに納めなかった場合 ―― 不納付加算税(第六十七条)
  • 上の3つに該当する場面で、隠蔽または仮装があった場合 ―― 重加算税(第六十八条)

重加算税は、もとの加算税に上乗せされるのではなく、もとの加算税に代えて課されます。一方、延滞税は加算税とは別系統なので、加算税が課される場面でも重ねてかかります。

自主的に直すほど軽くなる

4つの加算税に共通するのは、税務署が動く前に自分で是正したかどうかで割合が変わる設計です。

過少申告加算税と無申告加算税では、調査通知の前か後か、そして更正・決定があるべきことを予知したかどうかという二つの線が引かれています。不納付加算税では、納税の告知があるべきことを予知したかどうかが線になります。

さらに、無申告加算税と不納付加算税には短期間で是正した場合の不適用があり、いずれも法定申告期限または法定納期限から1月を経過する日までという枠が条文に置かれています(第六十六条、第六十七条)。期限を過ぎたことに気づいたとき、最初に確認すべきはこの枠です。

いつ成立するか

第十五条第二項は、加算税の成立時期を定めています。過少申告加算税、無申告加算税、および第六十八条第一項・第二項に係る重加算税は法定申告期限の経過の時。不納付加算税、および同条第三項に係る重加算税は法定納期限の経過の時です。

延滞税と利子税は、第十五条第三項により、成立と同時に特別の手続を要しないで納付すべき税額が確定します。加算税のように賦課決定通知が来るものではありません。

端数の切り捨てで消えることがある

第百十八条第三項は、附帯税の額を計算する場合において、計算の基礎となる税額に1万円未満の端数があるとき、またはその全額が1万円未満であるときは、切り捨てると定めています。

第百十九条第四項は、附帯税の確定金額に100円未満の端数があるとき、またはその全額が1,000円未満(加算税に係るものについては5,000円未満)であるときは、切り捨てると定めています。加算税と延滞税で基準が違う点に注意が必要です。

本税の増差が小さい事案では、この切り捨てにより加算税が出ないことがあります。

税目は本税と同じ

加算税は、その額の計算の基礎となる税額の属する税目の国税とされます(第六十九条)。延滞税も同じです(第六十条)。法人税の修正なら法人税の加算税、消費税の修正なら消費税の加算税として扱われます。

実務でよく相談を受ける点

指摘を受けた直後にご相談いただくことが多いのですが、負担の総額は、加算税の割合だけでなく、遡る年分の数と延滞税の期間で大きく変わります。どの年分をどの順で是正するかは選べる場面があるため、修正申告書を出す前に全体を見ておく価値があります。

根拠条文

  • 国税通則法第2条第4号(定義)
  • 国税通則法第15条第2項第14号及び第15号並びに第3項第7号(納税義務の成立及びその納付すべき税額の確定)
  • 国税通則法第60条第1項及び第4項(延滞税)
  • 国税通則法第64条第1項(利子税)
  • 国税通則法第65条第1項(過少申告加算税)
  • 国税通則法第66条第1項及び第9項(無申告加算税)
  • 国税通則法第67条第1項及び第3項(不納付加算税)
  • 国税通則法第68条第1項から第3項まで(重加算税)
  • 国税通則法第69条(加算税の税目)
  • 国税通則法第118条第3項(国税の課税標準の端数計算等)
  • 国税通則法第119条第4項(国税の確定金額の端数計算等)

条文の見出しは e-Gov 法令検索の法令データで確認しています。

本稿は2026年9月4日時点の法令に基づく一般的な解説です。実行の前に必ず個別にご相談ください。

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