税務調査の基礎知識

過少申告加算税とは

期限内に申告を出していた人が、あとから修正申告を出す、あるいは税務署から更正を受ける。そのときに本税とは別に課されるのが過少申告加算税です。国税通則法第六十五条に定めがあります。

この記事は、修正申告を出すかどうかを決める前に、いくらの負担が乗るのかを見積もるための地図です。

期限内に出していた人だけが対象

過少申告加算税は、期限内申告書が提出されている場合に、そのあと修正申告書の提出または更正があったときに課されます。期限内申告書には還付請求申告書も含まれます。

期限内に何も出していなければ、こちらではなく無申告加算税の世界に入ります。ただし第六十五条には括弧書きがあり、「期限後申告書が提出された場合において、次条第一項ただし書又は第九項の規定の適用があるときを含む」とされています。無申告加算税が課されない期限後申告は、過少申告加算税の側では期限内申告と同じ扱いになる、という接続です。

割合は10%。予知していなければ5%

基本の割合は、修正申告または更正に基づいて納付すべき税額の10%です。

ここが5%に下がる場合があります。条文は「修正申告書の提出が、その申告に係る国税についての調査があつたことにより当該国税について更正があるべきことを予知してされたものでないとき」と書いています。更正を予知したかどうかが分かれ目で、調査が始まっているかどうかではありません。

「調査通知」より前なら、そもそも課されない

さらに前の段階があります。予知しないでされた修正申告であって、かつ調査通知より前に行われたものであれば、第六十五条は適用されません。加算税はゼロです。

調査通知とは、第七十四条の九第一項第四号および第五号に掲げる事項その他政令で定める事項の通知をいいます。実地の調査を行う旨の連絡が入り、対象の税目と課税期間が告げられた時点が境目になります。

したがって同じ「自主的な修正申告」でも、調査通知の前ならゼロ、通知の後で予知の前なら5%、予知した後なら10%と、三段になります。

50万円を超える部分には5%を加える

第六十五条第二項は加重を定めています。納付すべき税額が、その国税に係る期限内申告税額に相当する金額と50万円とのいずれか多い金額を超えるとき、その超える部分に5%を加算します。

50万円の固定基準ではなく、もともと期限内に申告していた税額との比較が入るのが特徴です。期限内申告税額が大きい会社ほど、加重に入りにくい設計になっています。すでに一度修正申告や更正を受けている場合には、累積増差税額を加えて判定します。用語の意味は同条第三項に置かれています。

帳簿を出さなかったときの加重

第六十五条第四項は帳簿に関する加重です。修正申告等の前に、税務署等の当該職員から帳簿の提示または提出を求められた場合に適用され、提示・提出をしなかったとき、または納税申告書の作成の基礎となる重要なものとして財務省令で定める事項(特定事項)の記載が著しく不十分だったときは10%、記載が不十分だったときは5%を加算します。ただし「当該納税者の責めに帰すべき事由がない場合を除く」とされています。

対象になる帳簿は「財務省令で定めるものに限る」とされ、電磁的記録による作成・保存もここに含まれます。加算税が資料の出し方そのものに反応する規定なので、調査の初動で効いてきます。

正当な理由があると認められる部分は外れる

第六十五条第五項は、計算の基礎から控除するものを定めています。ひとつは、修正申告または更正前の税額の計算の基礎とされていなかったことについて正当な理由があると認められる事実に基づく税額。もうひとつは、期限内申告書の提出により納付すべき税額を減少させる更正(更正の請求に基づく更正を除く。)があった場合の、その期限内申告書に係る税額に達するまでの税額です。

「正当な理由」は条文上の要件であり、納税者が主張して認めさせる余地のある入口です。

いつ成立し、いくらから課されるか

過少申告加算税の納税義務は、法定申告期限の経過の時に成立します(第十五条)。修正申告を出した時ではありません。ただし同条は「当該国税のうち政令で定めるものについては、政令で定める時」としており、還付請求申告書に係るものは国税通則法施行令第五条により、その申告書の提出の時に成立します。

金額の端数は第百十八条と第百十九条で切り捨てます。計算の基礎となる税額は1万円未満を切り捨て、確定した加算税の額は100円未満を切り捨て、加算税の全額が5,000円未満なら全額を切り捨てます。本税の増差が小さいときは、加算税が出ないことがあります。

税目は本税と同じです(第六十九条)。

実務でよく相談を受ける点

迷いが出るのは、調査の連絡が入ったあとに誤りに気づいた場面です。5%で済むのか10%になるのかは「予知」の評価にかかり、そこは事実認定の問題になります。修正申告書を出す前にご相談いただければ、どの事実が予知の評価に効くのかを整理できます。

附帯税全体の位置づけは附帯税の全体像にまとめています。

根拠条文

  • 国税通則法第2条第4号(定義)
  • 国税通則法第15条第2項第14号(納税義務の成立及びその納付すべき税額の確定)
  • 国税通則法第65条第1項から第6項まで(過少申告加算税)
  • 国税通則法第69条(加算税の税目)
  • 国税通則法第118条第3項(国税の課税標準の端数計算等)
  • 国税通則法第119条第4項(国税の確定金額の端数計算等)
  • 国税通則法施行令第5条第1項第11号(納税義務の成立時期の特例)

条文の見出しは e-Gov 法令検索の法令データで確認しています。

本稿は2026年9月4日時点の法令に基づく一般的な解説です。実行の前に必ず個別にご相談ください。

記載には注意を払っていますが、誤りにお気づきの際はお問い合わせよりご一報いただけると幸いです。

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