国際税務の基礎知識

海外企業への請求なら消費税は不要? デジタルサービスで先に確認したいこと

クラウドサービスやオンライン広告、デジタルコンテンツの取引では、契約相手、利用者、決済会社が別の国にあることも珍しくありません。請求書の宛先が海外企業だからという理由だけで、消費税を「対象外」にしていないでしょうか。判断には、提供するサービスの内容、サービスを受ける者、取引の仕組みを順に確認する必要があります。

まず「何を提供しているか」を確かめる

消費税では、インターネットを介したサービスのうち、電子書籍、音楽、広告の配信などを「電気通信利用役務の提供」として扱います。デジタルという呼び方だけで決まるのではなく、サービス自体の提供に通信回線を利用しているかなど、実際の内容を確認します。[1]

他方、通常の業務について、依頼をメールで受け、結果をメールで送ったというだけで、直ちにすべてがこの区分に変わるわけではありません。他のサービスの結果通知など、そのサービスに付随する通信は、電気通信利用役務の定義から除かれます。契約の名称が「オンライン業務」でも、何に対して料金を受け取るのかを具体的に読み解くことが必要です。[2]

たとえば、継続的にソフトウエアの機能を利用できる契約と、個別の調査を依頼して成果を受け取る契約では、最初に確かめる事実が異なります。複数のサービスをまとめて請求している場合も、一つの名称や勘定科目だけで全体を判断しないことが大切です。

電気通信利用役務は、受け手の住所等から内外を判定する

電気通信利用役務の提供が国内取引か国外取引かは、原則として、その提供を受ける者の住所・居所、本店・主たる事務所の所在地で判定します。提供者やサーバーが海外にあるという理由だけで、日本の消費税の対象外にはなりません。国内の利用者に提供するサービスなら、国外から提供していても国内取引となり得ます。[3]

逆方向の取引でも、請求書に海外本社の住所が書いてあるという一点で判定を終えないようにします。その会社が実際にサービスを受ける契約なのか、単にグループ各社の支払いをまとめているのかを確認します。本店と支店の関係については、事業者向け役務の内外判定の特例が関係する場合もあるため、契約当事者と利用事業の両方を整理します。

確認資料としては、契約書、申込時の所在地情報、利用者の登録情報、請求・決済の流れなどが考えられます。国外取引と処理するのであれば、受け手の所在地をどの情報から判断したのかを残しておくと、取引件数が増えても運用がぶれにくくなります。

国外取引と輸出免税を、同じ箱に入れない

国外取引は、日本の消費税の課税対象となる国内取引に当たらないという整理です。輸出免税は、国内の課税対象となる取引について、輸出取引等に該当するため消費税を免除する仕組みです。請求書に消費税を加算しない点が似ていても、税務上の理由は異なります。

電気通信利用役務に該当しない通常の役務では、原則として役務を提供した場所により内外を判定し、国内取引に当たる場合に輸出免税を検討します。非居住者に対する役務であっても、日本の資産の運送・保管や、日本での飲食・宿泊など、国内で直接便益を受けるものは免税の対象から除かれます。「相手が外国法人」という事実だけでは足りません。[4]

この区別は、会計ソフトの税区分や消費税申告の集計にも関わります。まずサービスの分類と内外判定を行い、その後に輸出免税の要件と保存資料を確認する順序にすると、「海外売上は全部同じ」という処理を避けられます。

B2BかB2Cかは、購入者が法人かだけでは決まらない

国外事業者による電気通信利用役務では、「事業者向け」とそれ以外で課税方式が分かれます。ここでいう事業者向けは、サービスの性質や取引条件から、受け手が通常事業者に限られるものです。高額なサービスであることや、利用者の大半が法人であることだけでは、この区分になるとは限りません。[2]

事業者向けに該当するものは、原則として国内の受け手が申告・納税するリバースチャージ方式です。それ以外の、いわゆる消費者向けサービスは、原則として提供した国外事業者側が申告・納税します。ただし、リバースチャージには課税売上割合や簡易課税などに関する経過措置があります。会社が海外サービスを購入したというだけで、機械的に納税額を加算しないようにします。[1]

2025年からのプラットフォーム課税も、取引ごとに確認する

2025年4月1日からは、国外事業者がデジタルプラットフォームを通じて行う消費者向け電気通信利用役務のうち、指定された特定プラットフォーム事業者を介して対価を受け取るものについて、そのプラットフォーム事業者がサービスを提供したとみなして申告・納税する制度が始まっています。[5]

アプリストアやオンラインモールで販売しているサービスが、すべて対象になるわけではありません。国内事業者による提供や、プラットフォームを通さず直接対価を受け取る取引などは、同じ扱いにはなりません。事業者向け電気通信利用役務もこの制度の対象外です。

提供者側では、直販とプラットフォーム経由の売上を分け、誰が代金を受領し、どの取引について誰が申告するのかを確認します。購入者側でも、請求書の発行者や記載内容を確認して記帳します。サービス内容、受け手の所在地、事業者向けの該当性、決済経路の四点をそろえることが、国境を越える取引の消費税を正しく処理する出発点です。

参照資料

資料確認日:2026年9月17日。一般的な論点整理です。個別のサービス分類と申告処理は、実際の契約・提供内容と適用時点の法令に基づき確認してください。

本稿は2026年9月24日時点の法令に基づく一般的な解説です。実行の前に必ず個別にご相談ください。

記載には注意を払っていますが、誤りにお気づきの際はお問い合わせよりご一報いただけると幸いです。

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