Tax Reform Outline Review

令和7年度税制改正大綱で決まったこと、103万円の壁と防衛特別法人税

何が、いつ、誰の手で決まったのか

令和7年度税制改正の大綱は、令和6年12月27日に閣議決定された政府の大綱です。財務省のホームページには全9ページに分けて掲載されています。この年に何を目指したのかは、本文の冒頭に置かれた一文に表れています。

物価上昇局面における税負担の調整及び就業調整対策の観点から、所得税の基礎控除の控除額及び給与所得控除の最低保障額の引上げ並びに大学生年代の子等に係る新たな控除の創設を行う。

冒頭ではこのあと、確定拠出年金の拠出限度額の引上げ、中小企業経営強化税制の拡充、防衛力強化に係る財源確保のための税制措置、グローバル・ミニマム課税の法制化、外国人旅行者向け免税制度の見直しが並べられ、これらにより「賃上げと投資が牽引する成長型経済」への移行を実現するとされています。大綱の読み方は令和8年度税制改正大綱のポイントPlease also take a look.

大綱の柱

本文は八つの章に分かれています。章の名前と決まったことは次のとおりです。

その章で決まったこと
個人所得課税 基礎控除と給与所得控除の最低保障額が引き上げられ、特定親族特別控除(仮称)が創設されます。
資産課税 結婚・子育て資金の一括贈与の非課税措置が2年延長されます。
法人課税 中小企業者等の法人税の軽減税率の特例が見直され、中小企業経営強化税制が拡充されます。
consumption tax 外国人旅行者向け消費税免税制度が、出国時の確認を前提とする方式に改められます。
国際課税 軽課税所得ルールと国内ミニマム課税に対応する法人税が設けられます。
防衛力強化に係る財源確保のための税制措置 防衛特別法人税(仮称)が創設され、たばこ税の税率等が見直されます。
納税環境整備 電子取引に係る重加算税の加重措置の対象が見直されます。
関税 暫定税率411品目の適用期限が令和8年3月31日まで延長されます。

大綱に添えられた「令和7年度の税制改正(内国税関係)による増減収見込額」の合計は、平年度で6,610億円の減収、初年度で6,800億円の減収です。前の年度については令和6年度税制改正の大綱をご覧ください。

「103万円の壁」に、二つの控除で応じる

この年の最大の項目は、個人所得課税の第一節に置かれた「物価上昇局面における税負担の調整及び就業調整への対応」です。まず基礎控除について、合計所得金額が2,350万円以下である個人の控除額が10万円引き上げられます。その結果、基礎控除の額は次のとおりとなります。

合計所得金額 基礎控除の額
2,350万円以下 58万円
2,350万円超2,400万円以下 48万円
2,400万円超2,450万円以下 32万円
2,450万円超2,500万円以下 16万円

給与所得控除については、55万円の最低保障額が65万円に引き上げられます。いずれも令和7年分以後の所得税について適用されますが、給与等及び公的年金等の源泉徴収については令和8年1月1日以後に支払うべきものから適用されます。この節全体による減収は、平年度で5,830億円、初年度で6,750億円と見込まれています。

大学生年代の子等に係る新しい控除

三つ目が特定親族特別控除(仮称)の創設です。居住者が生計を一にする年齢19歳以上23歳未満の親族等(配偶者及び青色事業専従者等を除き、合計所得金額が123万円以下であるものに限ります。)で控除対象扶養親族に該当しないものを有する場合に、総所得金額等から控除を受けられます。控除額は、親族等の合計所得金額が58万円超85万円以下であれば63万円で、そこから段階的に下がり、120万円超123万円以下の区分では3万円です。あわせて、同一生計配偶者及び扶養親族の合計所得金額要件は58万円以下(現行は48万円以下)に、勤労学生の合計所得金額要件は85万円以下(現行は75万円以下)に引き上げられます。

子育て支援に関する政策税制を、三つの控除で組み立てる

生命保険料控除では、居住者が年齢23歳未満の扶養親族を有する場合について、令和8年分の新生命保険料に係る一般生命保険料控除の計算が別に定められます。旧生命保険料とあわせて適用する場合の一般生命保険料控除の適用限度額は6万円(現行は4万円)です。ただし、一般・介護医療・個人年金の三つを合わせた適用限度額は12万円で、現行と同じです。

住宅ローン控除では、特例対象個人が認定住宅等の新築等をして令和7年中に居住の用に供した場合の借入限度額が定められます。特例対象個人とは、年齢40歳未満であって配偶者を有する者、年齢40歳以上であって年齢40歳未満の配偶者を有する者、又は年齢19歳未満の扶養親族を有する者です。

  • 認定住宅の借入限度額は5,000万円です。
  • ZEH水準省エネ住宅の借入限度額は4,500万円です。
  • 省エネ基準適合住宅の借入限度額は4,000万円です。

三つ目は改修工事です。特例対象個人が所有する居住用の家屋について一定の子育て対応改修工事をし、令和7年中に居住の用に供した場合が控除の対象に加えられ、標準的な工事費用相当額(250万円を限度とします。)の10%を所得税の額から控除できることとされます。

確定拠出年金の拠出限度額を引き上げる

企業型確定拠出年金では、企業型年金加入者掛金の額は事業主掛金の額を超えることができないとするマッチング拠出の要件が廃止されます。拠出限度額は、確定給付企業年金制度に加入していない者について月額6.2万円(現行は月額5.5万円)です。個人型確定拠出年金の拠出限度額は、第一号被保険者が月額7.5万円(現行は月額6.8万円)、企業年金に未加入の者(第一号被保険者及び第三号被保険者を除きます。)が月額6.2万円(現行は月額2.3万円)となり、国民年金基金の掛金額の上限も月額7.5万円に引き上げられます。

加入できる年代も広がります。60歳以上70歳未満で現行の個人型確定拠出年金に加入できない者のうち、過去の加入者・運用指図者であった者等であって、老齢基礎年金及び老齢給付金を受給していない者が新たに対象とされ、その拠出限度額は月額6.2万円とされます。

中小企業の法人税に、上げる方向と下げる方向が同時に入る

中小企業者等の法人税の軽減税率の特例は、見直しの上で適用期限が2年延長されます。原文にはこうあります。

所得の金額が年10億円を超える事業年度について、所得の金額のうち年800万円以下の金額に適用される税率を17%(現行:15%)に引き上げる。

もう一つの見直しは、適用対象法人の範囲から通算法人を除外することです。一方、中小企業経営強化税制は拡充されます。年平均の投資利益率が7%以上となることが見込まれ、経営規模の拡大を行うものとして経済産業大臣が定める要件に適合することの確認を受けた投資計画に必要不可欠な設備が、対象に追加されます。要件には、基準事業年度の売上高が10億円超90億円未満であること、売上高100億円超を目指す投資計画であることなどが含まれます。

対象から外れる設備もあります。遠隔操作、可視化又は自動制御化に関するデジタル化設備と、暗号資産マイニング業の用に供する設備が除外されます。暗号資産の税制がどう積み上がってきたかは暗号資産税制はこうしてできたでご覧いただけます。

防衛特別法人税を創設し、たばこ税を段階的に引き上げる

防衛力強化に係る財源確保のための税制措置は、独立した一つの章です。その柱が防衛特別法人税(仮称)の創設です。

法人の各課税事業年度の基準法人税額について、当分の間、防衛特別法人税を課する。

税額は、各課税事業年度の課税標準法人税額に4%の税率を乗じて計算した金額です。課税標準法人税額は基準法人税額から基礎控除額を控除した金額とされ、その基礎控除額は年500万円です。申告期限及び納期限は法人税と同一とされ、適用は令和8年4月1日以後に開始する事業年度からです。

たばこ税では、国のたばこ税の税率が当分の間1,000本につき8,302円(本則税率は6,802円)とされます。実施は令和9年4月1日からで、三段階の経過措置が置かれ、令和9年4月1日に7,302円、令和10年4月1日に7,802円、令和11年4月1日に8,302円と進みます。加熱式たばこの課税方式も、令和8年4月1日と同年10月1日の二段階で新しい換算方法に移ります。この章による増収見込額は、令和8年度で5,720億円、平年度で9,860億円とされています。

外国人旅行者向けの免税を、出国時の確認を前提とする方式に改める

輸出物品販売場を経営する事業者が免税対象物品を譲渡した場合、その購入した日から90日以内に出港地の税関長による確認を受けたときは、その確認をした旨の情報を事業者が保存することを要件として消費税が免除される、という形に改められます。原文の注では、実務上は消費税相当額を含めた価格で販売し、出国時に持出しが確認された場合に事業者から返金する「リファンド方式」となる、と説明されています。

対象となる物品の範囲も変わります。消耗品について、同一店舗一日当たりの購入上限額である50万円と特殊包装が廃止され、一般物品と消耗品の区分そのものがなくなります。通常生活の用に供しないものという要件も廃止され、代わりに金地金等の不正の目的で購入されるおそれが高い物品を個別に定める仕組みとされます。これらの改正は、原則として令和8年11月1日以後の免税対象物品の譲渡等について適用されます。

ご自身に関係があるかを見分けるには

  • 給与や年金を受け取っている方は、基礎控除と給与所得控除の項目をご覧ください。
  • 19歳以上23歳未満のお子さんを扶養している方は、特定親族特別控除(仮称)の項目をご覧ください。お子さんの合計所得金額の区分ごとに控除額が定められています。
  • 令和7年中に住宅の新築や取得、子育て対応改修工事をお考えの方は、子育て支援に関する政策税制の項目をご覧ください。
  • 確定拠出年金を利用している方は、拠出限度額と対象年齢の両方が動いています。
  • 所得が年10億円を超える法人や、設備投資をお考えの中小企業の経営者の方は、法人課税の項目をご覧ください。
  • 免税販売を扱う小売業の方は、外国人旅行者向け消費税免税制度の項目をご覧ください。方式そのものが変わります。

出所

  • 「令和7年度税制改正の大綱」(令和6年12月27日 閣議決定) 財務省(目次)

本稿は2026年9月6日時点の法令に基づく一般的な解説です。実行の前に必ず個別にご相談ください。

While we pay close attention to the information provided, if you notice any errorsContact UsI would appreciate it if you could let me know.

Back to list

Consultation by phone03-6447-1768

Yanagisawa International Tax Accounting FirmYanagisawa Research Institute Co., Ltd. (Group Company)Milione Properties Co., Ltd. (Group company)OneAsia International Co., Ltd. (Group Company)

7F SuSLOB Kitasando, 4-5-11 Sendagaya, Shibuya-ku, Tokyo 151-0051
Office Information
View map (Google Maps)