公益財団法人の設立・運営支援
社会の未来につなぐ。
富裕層の「究極の出口戦略」――富を、次の世代へ巡らせる
事業に打ち込み、会社を育て、財産を築いてきた。その財産が、自分や家族の暮らしに必要な額を十分に超えたとき、お金との向き合い方は変わっていくのかもしれません。「いくら残せるか」に加えて、「この財産で、誰の未来を支えられるか」という問いが生まれます。
私たちは、公益財団法人を、富裕層にとっての「究極の出口戦略」の一つと考えています。人生をかけて築いた富に、社会の中で長く働き続ける役割を与える。自分が元気なうちからその仕組みを育て、自分が亡くなった後も、次の世代に機会が届くようにする。そのための選択肢です。
一人の成功が、次の誰かの出発点になる
例えば、拠出した財産を財団で管理・運用し、その収益や寄附を奨学金、研究助成、文化活動などに生かす。学ぶ機会を得た人が社会で活躍し、やがて次の世代を支える側になる。財産をきっかけに、人と機会の循環が生まれます。
いわば、富を社会へ巡らせる「循環装置」です。創設者がその都度判断しなくても支援を続けられるよう、目的、資金計画、運営を担う人、運営を引き継ぐ人の選び方をあらかじめ設計します。適切な資産管理と運営を引き継ぐことで、個人の寿命を超えて、その志をつないでいくことを目指します。
一人の成功が、まだ出会ったことのない誰かの出発点になる。自分たちがいなくなった後も、財産が社会の中で役割を果たし続ける。私たちは、そこに公益財団法人という仕組みの美しさがあると考えています。
節税も、その先の社会貢献も、一緒に考える
最初のきっかけは、相続税や自社株の承継、寄附に伴う税負担の相談かもしれません。制度の要件に沿って税負担を軽減し、公益活動に充てられる財産を確保することも、大切な検討事項です。
その先にあるのは、「何を社会に残したいか」という問いです。教育なのか、研究なのか、文化なのか。支えたい活動を定め、その活動が続く財務と運営の仕組みをつくる。当事務所では、設立・公益認定から、株式や不動産の寄附、設立後の会計・税務まで、その構想を具体化するお手伝いをします。
ノーベル賞も、一人の財産と遺言から始まった
その考え方を象徴する例が、ノーベル賞です。発明家であり実業家でもあったアルフレッド・ノーベルは、1895年の遺言で、遺産の大部分を基金とし、その運用から生まれる収益を、人類に大きな貢献をした人々への賞に充てる構想を残しました。
ノーベルが亡くなったのは1896年です。その後、遺言を実現するための調整を経て、1900年にノーベル財団が設立され、1901年に最初のノーベル賞が授与されました。ご本人が亡くなった後に仕組みが整い、世代を超えて受け継がれてきたのです。
ここで注目したいのは、財産を一度配って終えるのではなく、財産を運用し、その成果を社会に還元し続ける仕組みにしたことです。もちろん、続けていくためには、資産の管理や運用、賞の選考などを担う人々と組織が必要です。それでも、人生をかけて築いた富が、自分の死後も、まだ出会ったことのない人々の挑戦を支える。ノーベル賞の歴史には、財団という仕組みの大きな可能性が表れています。
日本の公益財団法人とは制度が異なりますが、「財産と意思を、次の世代へつなぐ」という発想は共通しています。詳しい経緯は、ノーベル平和賞公式サイトの歴史解説で紹介されています。
国境を越えて受け継がれてきた、財産の生かし方
個人が築いた財産を、世代を超えた社会貢献につなげる発想は、海外にも見られます。米国のロックフェラー財団は、1913年の設立以来、人類の福祉の向上を使命として活動を続けています。英国のWellcomeは、製薬事業で財を成したヘンリー・ウェルカムの1936年の遺贈に由来する運用資産を基盤に、研究などを支援しています。
法人制度や税制は国によって異なりますが、築いた富を社会の未来のために生かすという考え方には、共通するものがあります。日本の公益財団法人についても、その理念と、日本の制度に即した実現方法の両方から考えていきます。
以下では、弊事務所が約10年前に検討していた公益法人を活用した節税スキーム、公益法人の会計と税務、税効果のシミュレーションで解説してきた論点も踏まえ、設立から寄附・資産承継、運営までの全体像をご紹介します。
公益財団法人とは何か
財団法人は、拠出された財産を基礎に、定めた目的のために活動する法人です。一般財団法人として設立し、公益目的事業や運営体制などについて行政庁の公益認定を受けると、公益財団法人になります。
例えば、経済的な理由で学ぶことが難しい学生への奨学金、研究者への助成、文化・芸術の振興などが考えられます。実際の認定では、事業の名前だけでなく、対象者の選び方や運営方法も含めて検討します。
| 観点 | 一般財団法人 | 公益財団法人 |
|---|---|---|
| 成立・認定 | 定款の認証、財産の拠出、設立登記などを行う | 一般財団法人が行政庁の公益認定を受ける |
| Business | 公益事業を含め、適法な事業を行える | 公益目的事業を費用で測って50%以上実施する必要がある |
| 運営 | 一般法人法による機関・会計などの規律 | 加えて公益認定法による財務規律、情報開示、行政庁の監督 |
| corporate tax | 非営利型法人の要件に該当するかで課税範囲が異なる | 収益事業から生じる所得が課税対象。公益目的事業は収益事業から除外 |
制度の比較:内閣府・公益法人制度FAQ、税務の区分:国税庁・非営利型法人の要件。一般財団法人という名称だけで、収益事業以外が非課税になるわけではありません。
自社株・相続・事業承継とどう関係するのか
オーナー経営者の財産は、自社株に集中していることがあります。株式の評価額は大きくても、自由に使える現金が同じだけあるとは限りません。そのため、会社の経営を次世代に引き継ぐことと、相続に伴う納税資金を確保することを、並行して考える必要があります。
過去の記事でも取り上げたのが、自社株の一部を財団へ寄附し、その配当を奨学金などの公益活動に活用する考え方です。会社が生む収益を、継続的な社会貢献につなげられる可能性があります。
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寄附の税務要件、株式保有の制限、事業の継続性をそれぞれ確認します。
大切なのは、財団に移した株式は財団の財産になるという点です。創設者や家族が引き続き私有財産として自由に使えるものではありません。後継者に残す株式、公益活動に充てる株式、家族の生活資金を分けて検討します。
また、公益法人には、他の団体の意思決定に関与できる株式等の保有を制限する認定基準があります。「何%寄附してもよい」「財団を通じて自由に会社を支配できる」とは考えられません。議決権や保有目的などを確認した設計が必要です。
比較すべき選択肢には、既存の公益法人への寄附や、後継者への株式承継、資産管理会社の利用などもあります。税額だけを比べると、家族に残る財産と、社会へ拠出する財産の違いを見落とします。当事務所では、その違いも含めて検討します。
税務は「寄附する方」と「財団」を分けて考える
公益認定、寄附金控除、現物寄附の譲渡所得非課税、相続財産の寄附の特例は、それぞれ別の制度です。一つの要件を満たしたから、ほかも自動的に適用されるという関係ではありません。
| 場面 | 主な確認事項 |
|---|---|
| 個人が金銭を寄附 | 寄附金控除の対象となる寄附か。税額控除は寄附先に別途の証明等が必要 |
| 個人が株式・不動産を寄附 | みなし譲渡による所得税と、租税特別措置法40条の承認による非課税の可否 |
| 相続した財産を寄附 | 相続税申告期限、寄附先、公益目的での使用、申告書類などの要件 |
| 財団が事業を行う | 法人税法上の収益事業に該当するか。公益目的事業との関係、会計区分を確認 |
株式や不動産は「無償の寄附」でも所得税が問題になる
個人が値上がりした株式や不動産を法人へ寄附すると、原則として時価で譲渡したものとみなされ、値上がり益に所得税がかかります。現金を受け取っていないことと、所得税が生じないことは同じではありません。
公益法人等への寄附については、公益の増進に著しく寄与することなどの要件を満たし、国税庁長官の承認を受けることで、譲渡所得等を非課税とする制度があります。これが租税特別措置法40条の特例です。公益財団法人への寄附というだけで自動的に非課税にはならないため、寄附前から財産の内容、使途、申請手続を確認します。
参考:国税庁・公益法人等に財産を寄附した場合の譲渡所得等の非課税の特例。金銭の寄附等については寄附金控除、公益社団法人等寄附金特別控除もご参照ください。
相続した財産を寄附する場合には期限がある
相続・遺贈で取得した財産を、相続税の申告期限までに一定の公益法人などへ寄附した場合、要件を満たす財産を相続税の対象から外す特例があります。申告書への記載・書類の添付に加え、寄附後の公益目的での使用なども問題になります。
相続税の特例が適用されても、株式や不動産の寄附に伴う所得税は別途確認が必要です。「相続税」と「みなし譲渡の所得税」を分けて整理することが重要です。詳しくは国税庁「相続財産を公益法人などに寄附したとき」Please see
財団の法人税・会計も、事業内容に応じて整理する
公益財団法人は、法人税法上の収益事業から生じた所得について法人税の対象となり、公益認定法上の公益目的事業はその収益事業から除外されます。寄附金や運用収入も、名称だけではなく、実際の事業との関係を踏まえた確認が必要です。
公益認定法でいう「収益事業等」と法人税法の「収益事業」は、同じ意味ではありません。会計上の事業区分と税務上の判定を区別し、共通経費の配分、寄附者が指定した使途、運用資産の管理などを整理します。消費税や源泉所得税についても、法人税とは別の検討が必要です。
課税範囲の参考:国税庁・公益法人等に対する課税(課税範囲の説明を参照)。
設立・公益認定・運営の流れ
- 1 事業と財産の設計誰をどのように支援するか、拠出する資産と継続的な収入を整理します。
- 2 設立と認定の準備定款、機関構成、事業計画、財務計画を整え、一般財団法人の設立と公益認定を進めます。
- 3 認定後の運営事業実施、会計、決算、税務、行政庁への報告・情報開示を継続します。
一般財団法人の設立には、300万円以上の財産の拠出が必要です。ただし、これは設立の法定要件であり、公益事業を持続できる資金水準とは別です。年間の助成額、事務局の人件費、専門家費用などを見込み、寄附や運用収入が減った場合にも活動を続けられるかを検討します。
理事・理事会、監事、評議員・評議員会などの体制も必要です。創設者一人の判断ですべてを動かす仕組みとは異なります。適切な意思決定と監督が機能する人選を、早い段階から考えます。設立の基本事項は法務省の一般社団法人・一般財団法人制度Q&ABut I can check.
2025年の制度改正を踏まえた運営
2025年4月から新しい公益法人制度が始まりました。財務規律の見直しとして、中期的収支均衡や使途不特定財産の規律などが導入されています。過去の記事に出てくる「収支相償」「遊休財産」といった説明を、そのまま現在の運営判断に使うことはできません。
新制度の適用関係と、採用する公益法人会計基準・移行時期を確認して、事業計画や会計処理を整えます。改正の概要は内閣府・公益法人等制度改革特集ページにまとめられています。
当事務所がお手伝いすること
公益財団法人の検討では、認定の可否だけでなく、資産を拠出する方の税務と、財団を運営する側の会計・税務をつなげて考えることが重要です。当事務所では、次のようなご相談に対応します。
- 社会貢献の目的、拠出する資産、事業計画の整理
- 自社株・不動産・金銭の寄附に伴う課税関係の検討
- 相続・事業承継を含めた資産の配分と税務上の論点の整理
- 公益認定に向けた会計・財務・税務の検討
- 設立後の会計・税務、継続的な運営に関するご相談
登記・公益認定申請などについては、案件に応じて司法書士・行政書士等との連携を検討し、担当範囲と費用を事前にご案内します。
支援実績:b-ex財団の公益認定
当事務所が公益認定取得を支援したb-ex財団は、2024年11月22日付で公益認定を受けました。美容学生への給付型奨学金などを通じた人材育成に取り組む財団です。当事務所代表・税理士 柳澤賢仁は、同財団の監事を務めています。
よくあるご質問
家族の資産管理会社とは何が違いますか?
財団へ拠出した財産は財団に帰属し、公益目的に沿って使われます。家族へ財産を残すことと、社会のために財産を拠出することの違いを整理して選択する必要があります。
株式を寄附すれば、必ず税金がかからなくなりますか?
いいえ。個人の現物寄附ではみなし譲渡課税が原則です。非課税の承認や相続税の特例には、それぞれ要件があります。寄附の実行前に確認します。
自分で財団をつくる必要がありますか?
既存の公益法人への寄附も選択肢です。自分で事業を設計・継続したいのか、既存の活動を支援したいのかによって、適した方法は変わります。設立後の運営体制を担えるかも含めて検討します。
まだ構想段階ですが、相談できますか?
はい。支援したい分野、予定する財産、希望する開始時期などをお知らせください。必要な検討事項と、当事務所がお手伝いできる範囲をご案内します。
より詳しく読みたい方へ
- 公益法人を活用した節税スキーム:自社株・資産承継との関係を考える
- 公益法人の会計と税務:財団の会計・税務の論点を確認する
- 公益法人の税効果シミュレーション:財産の拠出前後を比較する過去の設例
リンク先のブログは公表当時の制度に基づく解説を含みます。現在の制度や個別案件への適用は別途確認が必要です。
公益財団法人について相談する
実現したい公益活動と、拠出を検討している財産についてお聞かせください。すでに財団を運営している方の会計・税務のご相談も承ります。
お問い合わせは無料です。個別具体的な検討・助言は有料となり、内容と費用を事前にご案内します。
制度説明の確認日:2026年10月10日。本ページは一般的な制度と支援内容のご案内です。
