Tax Reform Outline Review

平成31年度税制改正大綱で決まったこと、仮想通貨の評価と住宅ローン控除

何が、いつ、誰の手で決まったのか

平成31年度税制改正の大綱は、平成30年12月21日に閣議決定された政府の大綱です。原文の表題の下には「平成30年12月21日 閣議決定」とだけ記されています。翌年に予定されていた消費税率の引上げにどう備えるかが、この年の出発点です。その姿勢は前文に表れています。

消費税率の引上げに際し、需要変動の平準化等の観点から、住宅に対する税制上の支援策を講ずるとともに、車体課税について、地方の安定的な財源を確保しつつ大幅な見直しを行う。さらに、デフレ脱却と経済再生を確実なものとするため、研究開発税制の見直し等を行う。また、都市・地方の持続可能な発展のための地方税体系の構築の観点から、特別法人事業税(仮称)及び特別法人事業譲与税(仮称)の創設等を行う。

大綱そのものの読み方は令和8年度税制改正大綱のポイントもあわせてご覧ください。

大綱の柱

本文は七つの章に分かれています。章の名前と、その章で決まったことは次のとおりです。

その章で決まったこと
個人所得課税 住宅ローン控除の特例と森林環境税(仮称)が創設され、個人が保有する仮想通貨の評価方法が定められます。
資産課税 個人事業者の事業用資産に係る納税猶予制度が創設され、教育資金の一括贈与非課税措置に所得の要件が加わります。
法人課税 研究開発税制が見直され、法人税における仮想通貨の評価方法等に時価法が導入されます。
consumption tax 車体課税が見直され、自動車税種別割の税率が引き下げられます。
国際課税 過大支払利子税制、移転価格税制、外国子会社合算税制が見直されます。
納税環境整備 税務当局が事業者等に報告を求める仕組みが整備されます。
関税 暫定税率411品目の適用期限が平成32年3月31日まで延長されます。

大綱に添えられた「平成31年度の税制改正(内国税関係)による増減収見込額」の合計は、平年度で1,040億円の減収、初年度で40億円の減収です。前後の年度は平成30年度税制改正の大綱令和2年度税制改正の大綱をご覧ください。

住宅ローン控除に11年目から13年目を足す

対象は、対価の額又は費用の額に含まれる消費税等の税率が10%である場合の住宅の取得等をして、平成31年10月1日から平成32年12月31日までの間に居住の用に供した場合に限られます。適用年の11年目から13年目までの各年について、次の区分に応じ、二つの金額のうち少ないほうを控除できることとされます。1年目から10年目までは現行と同様です。

住宅の区分 次のいずれか少ない金額
一般の住宅 年末残高(4,000万円を限度)×1%/〔対価の額-消費税額等〕(4,000万円を限度)×2%÷3
認定長期優良住宅及び認定低炭素住宅 年末残高(5,000万円を限度)×1%/〔対価の額-消費税額等〕(5,000万円を限度)×2%÷3

大綱にはもう一つ、東日本大震災の被災者等に係る再建住宅の区分が置かれ、年末残高の1.2%とされています。補助金等の交付や住宅取得等資金の贈与の非課税の適用を受ける場合であっても、その額は控除しないこととされます。

仮想通貨の評価方法と譲渡損益の扱いを定める

この大綱で、仮想通貨(現在の暗号資産)の評価方法が個人と法人の双方について定められます。取引が広がる一方で計算のよりどころがはっきりしなかった部分に、線が引かれた形です。経緯は暗号資産税制はこうしてできたもあわせてご覧ください。

個人は移動平均法又は総平均法で評価する

個人所得課税の章には、次のように書かれています。

個人が保有する資金決済に関する法律に規定する仮想通貨につき、その者の所得の金額の計算上必要経費に算入する金額を算定する場合におけるその算定の基礎となる期末において有する仮想通貨の価額は、移動平均法又は総平均法により算出した取得価額をもって評価した金額とするほか、所要の措置を講ずる。

売った仮想通貨の原価を計算する出発点が、期末に持っている仮想通貨の評価額です。その評価額を、移動平均法又は総平均法で算出した取得価額によることとしたのがこの一文です。二つの方法の違いは総平均法と移動平均法で説明しています。個人住民税についても、仮想通貨の取得価額の計算方法等に関する措置として所要の措置が講じられます。

法人は時価法を導入する

法人課税の章では、法人税における仮想通貨の評価方法等について時価法を導入する等の措置を講ずるとされ、その第一に次が挙げられます。

法人が事業年度末に有する仮想通貨のうち、活発な市場が存在する仮想通貨については、時価評価により評価損益を計上する。

売っていなくても、活発な市場が存在するものは期末に評価損益が立ちます。譲渡損益は、その譲渡に係る契約をした日の属する事業年度に計上されます。原価の額を計算する場合の一単位当たりの帳簿価額の算出方法は移動平均法又は総平均法による原価法とされ、法定算出方法は移動平均法による原価法です。未決済の信用取引等は、事業年度末に決済したものとみなして計算した損益相当額を計上します。適用は平成31年4月1日以後に終了する事業年度分の法人税からです。

車体課税を組み替える

自動車税の税率を引き下げる

自家用乗用車(三輪の小型自動車を除きます)に係る自動車税種別割の税率が、総排気量の区分ごとに引き下げられます。平成31年10月1日以後に新車新規登録を受けたものから適用されます。次の表は10区分のうち3区分です。

総排気量 現行 改正案
1,000cc以下 29,500円 25,000円
1,000cc超1,500cc以下 34,500円 30,500円
6,000cc超 111,000円 110,000円

買う時期に応じた軽減と、エコカー減税の縮小

平成31年10月1日に導入される環境性能割については、同日から平成32年9月30日までの間に取得した自家用乗用車の税率を1%分軽減する特例措置が講じられます。この措置による減収は、全額国費で補塡されます。

一方で、燃費の良い車を優遇する既存の措置は絞られます。「自動車重量税のエコカー減税」は適用期限が2年延長されますが、乗用自動車では税率を75%軽減する自動車の軽減割合が50%に、50%軽減する自動車の軽減割合が25%になります。「自動車取得税のエコカー減税」は適用期限が6月延長され、80%軽減及び60%軽減の乗用車の軽減割合が50%に、40%軽減の乗用車の軽減割合が25%になります。

個人事業者が事業用資産を継ぐときの納税猶予をつくる

資産課税の柱は、個人事業者の事業用資産に係る納税猶予制度の創設です。認定相続人が平成31年1月1日から平成40年12月31日までの間に相続等により特定事業用資産を取得し、事業を継続していく場合には、担保の提供を条件に、その課税価格に対応する相続税の納税が猶予されます。「特定事業用資産」とは、被相続人の事業(不動産貸付事業等を除きます)の用に供されていた土地(面積400平方メートルまでの部分に限ります)、建物(床面積800平方メートルまでの部分に限ります)及び建物以外の減価償却資産で、青色申告書に添付される貸借対照表に計上されているものです。

前提として、認定経営革新等支援機関の指導及び助言を受けて作成し、平成31年4月1日から平成36年3月31日までの間に都道府県に提出した承継計画が要ります。事業を廃止した場合等には、猶予税額の全額を利子税とともに納付します。あわせて小規模宅地等の特例が見直され、特定事業用宅地等の範囲から相続開始前3年以内に事業の用に供された宅地等が除外されます。この納税猶予を受ける場合、特定事業用宅地等について小規模宅地等の特例を受けることはできません。

教育資金の一括贈与非課税措置も見直されます。適用期限が2年延長される一方で、信託等をする日の属する年の前年の受贈者の合計所得金額が1,000万円を超える場合には適用を受けられません。結婚・子育て資金の措置にも同じ要件が加わります。

研究開発税制を見直し、法人事業税を組み替える

研究開発税制では、試験研究費の総額に係る税額控除制度の税額控除率が、増減試験研究費割合が8%を超えるかどうかで二本の算式に整理されます。あわせて、研究開発を行う一定のベンチャー企業について、控除税額の上限が当期の法人税額の40%(現行は25%)に引き上げられます。対象は、設立後10年以内の法人のうち当期において翌期繰越欠損金額を有するもの(大法人の子会社等を除きます)です。中小企業技術基盤強化税制でも、5%を超える場合の特例が8%を超える場合の特例に見直されます。

地方税では、法人事業税の標準税率が引き下げられます。資本金1億円超の普通法人の所得割は、年800万円超の所得に対する標準税率が3.6%から1%になり、資本金1億円以下の普通法人等では9.6%から7%になります。適用は平成31年10月1日以後に開始する事業年度からです。

引下げと入れ替わりに創設されるのが特別法人事業税(仮称)です。法人事業税(所得割又は収入割)の納税義務者に対して課する国税で、課税標準は標準税率により計算した法人事業税額です。申告納付は都道府県に対して法人事業税と併せて行います。その収入額は、使途を限定しない一般財源として特別法人事業譲与税(仮称)で都道府県へ譲与されます。

ご自身に関係があるかを見分けるには

  • 消費税率10%で住宅を買おうとしている方は、個人所得課税の章をご覧ください。11年目から13年目の控除には、居住の用に供する時期の条件があります。
  • 仮想通貨を売買している方は、個人所得課税の章をご覧ください。期末に持っている仮想通貨の評価は移動平均法又は総平均法によることとされます。
  • 法人で仮想通貨を持っている方は、法人課税の章をご覧ください。活発な市場が存在するものは、売っていなくても期末に評価損益が立ちます。
  • 車の買い替えを考えている方は、消費課税の章をご覧ください。自動車税種別割の引下げは新車新規登録の時期で、環境性能割の軽減は取得の時期で区切られます。
  • 個人で事業を営み、後継者に引き継ぐことを考えている方は、資産課税の章をご覧ください。承継計画を都道府県に提出する期間が決まっています。

出所

  • 「平成31年度税制改正の大綱」(平成30年12月21日 閣議決定)

本稿は2026年9月6日時点の法令に基づく一般的な解説です。実行の前に必ず個別にご相談ください。

While we pay close attention to the information provided, if you notice any errorsContact UsI would appreciate it if you could let me know.

Back to list

Consultation by phone03-6447-1768

Yanagisawa International Tax Accounting FirmYanagisawa Research Institute Co., Ltd. (Group Company)Milione Properties Co., Ltd. (Group company)OneAsia International Co., Ltd. (Group Company)

7F SuSLOB Kitasando, 4-5-11 Sendagaya, Shibuya-ku, Tokyo 151-0051
Office Information
View map (Google Maps)