土地の所在地から、評価方式を調べる
土地の相続税評価には、主に路線価方式と倍率方式があります。どちらを使うかを納税者が自由に選ぶのではなく、土地の所在する地域などによって決まります。まず対象の土地と取得年を特定し、国税庁の財産評価基準書で路線価地域か倍率地域かを確認することが出発点です。
最初に年分と所在地を確定します
2026年中の相続や贈与によって取得した土地は、原則として2026年分の路線価や評価倍率を確認します。申告書を作るのが翌年であっても、翌年分を使うわけではありません。古い資料を手元に残している場合は、地図の年分を必ず見直します。
所在地の確認では、普段使っている住所と登記上の地番が異なることにも注意します。近くの道路や目印だけで地図を選ぶと、一本隣の路線価を使うことがあります。登記事項、地図、課税明細を突き合わせ、評価する範囲まで明らかにします。
取得年と地番を確認 → 財産評価基準書で所在地を探す → 路線価地域か倍率地域かを確認 → 利用単位と地目を確認 → 所定の評価計算へ進む
路線価方式は、単価に土地の条件を反映します
路線価は1平方メートル当たりの価額で、図面では千円単位です。例えば「200」という数字は20万円を表します。数字に付いたアルファベットは借地権割合を示し、路線価の金額に加算する記号ではありません。地区区分の表示も、奥行などの補正率を選ぶ際に必要です。
説明のため、路線価20万円、地積200平方メートル、奥行価格補正率1.00で、他の補正・加算がない宅地なら、20万円×1.00×200平方メートル=4,000万円です。これは自用地としての基本的な例で、賃貸や小規模宅地等の特例はまだ反映していません。
倍率方式は固定資産税評価額を基礎にします
路線価が定められていない地域では、その土地の固定資産税評価額に所定の倍率を掛ける方式が用いられます。例えば対象土地の固定資産税評価額が1,500万円、倍率が1.1なら、1,500万円×1.1=1,650万円です。倍率は所在地や地目、区域の区分を確認して選びます。
ここで掛けるのは固定資産税の税額ではなく評価額です。また、住宅用地の特例などを反映した課税標準額とも区別します。納税通知書に複数の金額が載っている場合は、数字の大きさで判断せず、欄の名称や評価証明書で確かめます。
倍率地域なら形や使い方を見なくてよいのでしょうか
倍率方式では、路線価方式の補正率を何でも重ねて掛けるわけではありません。固定資産税評価額に既に個別の状況が反映されている場合もあります。一方、地積規模の大きな宅地など、別途確認を要する取扱いもあるため、「倍率を一度掛ければすべて完了」と決めつけないことが大切です。
土地を貸している場合の権利関係や、共有持分、小規模宅地等の特例なども別に検討します。方式の選択は評価の入口であり、所有者の権利や利用状況まで自動的に決まるものではありません。計算の段階を分けて整理すると、調整の重複や漏れを減らせます。
一つの筆を必ず一つの単位で評価するとは限りません
宅地は利用の単位となっている一画地ごとに評価することが基本です。登記上は複数の筆でも一体として自宅に使っている場合や、一筆の中に自宅部分と貸地部分がある場合など、登記の区切りと評価の区切りが一致しないことがあります。
評価単位を誤ると、接している道路、奥行、面積、賃貸による調整まで変わります。先に面積を掛けてから用途を考えるより、住宅地図や配置図に使用状況を書き込み、どの範囲を一緒に評価するかを整理する方が作業を進めやすくなります。
資料の不足を先に見つけます
最低限の出発点は、登記の地番と地積、取得年、課税明細、土地の利用状況です。形状が複雑な土地や境界が分かりにくい土地では、測量図や建物配置図が役立ちます。賃貸中なら契約書、複数の建物があるなら建物ごとの利用状況も確認します。
家族に説明するときは、計算表に使用した地図の年分と番号、倍率表の該当区分を添えておくと、数字を追いやすくなります。路線価方式と倍率方式のどちらかを確認した後も、土地の実態を資料で確かめ、評価の各段階を順番に積み上げていきましょう。
建物と土地の資料を取り違えないようにします
同じ課税明細書でも、土地の評価額と建物の評価額は別に表示されます。倍率表で確認した宅地の倍率を建物にも掛ける、といった処理はしません。物件番号、所在地、地目または家屋番号を対応させた一覧を作り、どの資料からどの数字を転記したかを残します。複数の自治体に不動産がある場合は、所在地ごとに資料をまとめると年分の混在も見つけやすくなります。
参考資料
主な参考資料
法令・制度の基準日:2026年08月13日。個別の事実関係によって結論が変わるため、具体的な取扱いは資料を確認してご検討ください。
ご家族と財産の状況に応じた検討を
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