相続税の基礎知識

一方・二方・三方・四方道路の土地評価|路線価は単純に足さない

土地が道路に多く接していると、出入口の配置や利用の選択肢が増える場合があります。相続税の路線価方式では、その効用を側方路線影響加算や二方路線影響加算などで反映します。ただし、二本の道路なら路線価を二つ、四本なら四つ足すという計算ではありません。正面路線を決め、他の道路の位置と効用に応じた加算を行います。

正面は玄関のある道路とは限りません

正面路線は原則として、各路線価にその路線から見た奥行価格補正率を掛けた金額を比較して判定します。住所に使う道路、玄関のある道路、路線価の数字が最も高い道路が、必ず正面になるわけではありません。土地の縦横と補正率を含めて比較することが必要です。

例えば、一方が路線価30万円で奥行価格補正率0.90なら27万円です。他方が28万円で補正率1.00なら28万円となるため、路線価そのものが低い後者が正面となる例があります。地区が異なる路線に接する場合には、正面判定とその後の加算で使用する地区の取扱いも確認します。

接道の形評価の基本的な考え方
一方道路正面路線価を奥行等で補正します
二方・角地正面に側方路線の影響を加算します
二方・表裏正面に裏面路線の影響を加算します
三方道路側方と裏面等の位置関係に応じて併用します
四方道路左右の側方と裏面等を区別し、各補正・加算を検討します

四方道路の単純化した計算例

普通住宅地区の正方形の宅地400平方メートルで、各方向の奥行価格補正率は1.00、すべての道路に全幅で接し、角地としての効用があると仮定します。正面30万円、左右の側方が各20万円、裏面15万円、側方加算率0.03、二方加算率0.02とします。

1平方メートル当たりの価額は、30万円+20万円×0.03+20万円×0.03+15万円×0.02=31万5,000円です。これに400平方メートルを掛け、1億2,600万円となります。路線価四つの合計85万円をそのまま面積に掛ける計算ではありません。

この例は地形や接道条件を単純化した説明用です。実際には各方向の奥行、地区、接している長さ、角地としての効用などを確認します。四方道路という言葉だけで同じ加算率や同じ計算結果になるわけではありません。路線ごとの計算表を作ると確認しやすくなります。

二方道路でも、角地と表裏では違います

隣り合う二辺が道路に面する角地と、正面・裏面が道路に面する土地では、通常、用いる加算率が異なります。一つの道路が曲がって土地を囲む準角地についても、一般的な角地と区別する必要があります。地図上で道路の本数を数えるだけでは判定できません。

また、側方道路があるように見えても、現実に角地としての効用を有しない場合には、二方路線影響加算率による取扱いがあります。高低差や接面状況などを資料で確認し、どのように利用できる土地なのかを整理します。見た目の分類を先に固定しないことが大切です。

道路に一部しか接していない場合

側方や裏面の道路に土地の一部だけが接している場合には、接している距離に応じた調整が必要になることがあります。全幅で接している土地と同じ加算額を用いると、道路の効用を過大に評価する可能性があります。

例えば側面の半分だけが道路に接するなら、その状況を測量図や地図に落とし込みます。ただし、常に加算額を単純に半分にすればよいという意味ではありません。対象となる側辺の長さや道路との位置関係を定めたうえで、国税庁の例示に沿って計算します。

図面と計算をセットで残します

接道評価で必要なのは、路線価図、地形が分かる図面、辺長、道路との関係が分かる資料です。路線価図だけでは実際の高低差や通行状況が分からないため、写真や配置図などの補足資料が有用なこともあります。未確認の条件は計算の前提として明記します。

評価を見直す際は、正面の選び方、側方と裏面の区分、奥行補正、加算率、接面割合、最後の面積計算の順に確認しましょう。複数道路の土地ほど、最終金額だけでなく、どの道路をどう扱ったかが分かる資料が重要になります。

道路が接していることと利用可能性を分けます

図面上の道路との境界線が長くても、その全体から実際に出入りできるとは限りません。接道の状況に疑問がある場合は、写真や道路関係の資料で事実を確認します。ただし、出入口を一か所しか設けていないという所有者の選択だけで、他の道路の効用が当然になくなるわけではありません。利用できない事情と、現在利用していないだけの事情を区別して評価することが必要です。

参考資料

主な参考資料

法令・制度の基準日:2026年08月14日。個別の事実関係によって結論が変わるため、具体的な取扱いは資料を確認してご検討ください。

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本稿は2026年10月10日時点の法令に基づく一般的な解説です。実行の前に必ず個別にご相談ください。

記載には注意を払っていますが、誤りにお気づきの際はお問い合わせよりご一報いただけると幸いです。

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