Cryptoasset taxation

ICOと仮想通貨交換業
ICOのトークン発行と法的な確認を表す切り絵

対象時点について:本稿は2017年8月公表・同年9月追記の考察を扱う過年度記事です。当初用いた「ICO=取引所上場」という前提と、上場前なら登録不要とする推論は訂正しています。下記の補足には、公表後の2017年10月27日に示された金融庁の説明も用いています。

約2か月前のブログエントリ「暗号通貨、仮想通貨交換業の税務」で、

 

3. ICOをする場合、仮想通貨交換業となるか?

暗号通貨界隈では「ICO(Initial Coin Offering)」が話題です。

ICOについては、下記の記事などが参考になります。

 Ethereum Based BAT ICO Raises $36 Million in 30 Seconds to Disrupt Advertising
 http://www.trustnodes.com/2017/05/31/ethereum-based-bat-ico-raises-36-million-30-seconds-disrupt-advertising

上記は、BATという広告系のトークン(トークンも暗号通貨の一種)がICOをして、30秒で約40億円も資金調達したというような記事です。

他にも、下記など。

【bitcoin news】現代に蘇るケインズ通貨「バンコール」、ブロックチェーンICOで167億円調達
 http://btcnews.jp/5k8o872y11509/

すごい額なので、今後、日本でもICOをしようとするスタートアップが出てくるのではないかと思うのですが、こういったトークンも改正資金決済法上の仮想通貨なのだとすると、まさにさきほどの「一 仮想通貨の売買又は他の仮想通貨との交換」を「業として」やっているのではないかと思いますので、個人的には、仮装通貨交換業の登録が必要だと思います。

 
と書いたのですが、「こういったトークンも改正資金決済法上の仮想通貨なのだとすると」の前提の部分の検討が少し甘かったように思い、以下、続編です。

 

Table of Contents
1. 暗号通貨と仮想通貨の違い
2. 海外の事情
3. ICO・トークンセールと取引所への上場
4. 資金決済法第2条第5項
5. 資金決済法第2条第7項
6. トークンセールの段階で仮想通貨交換業ライセンスは必要か?

 

1. 暗号通貨と仮想通貨の違い

前回のブログエントリでも触れましたが、暗号通貨(CryptoCurrency)という言葉は「概念」であり、仮想通貨という言葉は日本の「法令用語」だと、個人的には理解しています。

ベン図で言えば、大きい円が「暗号通貨」、その中にある小さい円が「仮想通貨」です。

 

2. 海外の事情

日本の金融商品取引法的なところで規制をしているのは、下記などによると、現在、米国くらいではないかと理解しています。

【TechCrunch】日本の仮想通貨法を武器とした資金調達のICOプラットフォーム「COMSA」をテックビューロが発表
 http://jp.techcrunch.com/2017/08/03/ico-platform-comsa/

以下引用です。

1年後の2017年7月25日にSEC(米証券取引委員会)が発表したレポートでは、The DAOを調査した結果「有価証券にあたり規制対象となる」と結論付けている。The DAOは事業リスクをデジタルなトークンの形にしたもので、証券法の対象となるとの指摘だ。

 

3. ICO・トークンセールと取引所への上場

上述の暗号通貨「Ethereum Based BAT」は、現在、暗号通貨時価総額ランキング34位。時価総額約230億円ですが、私が見ていた限り、トークンセール(イーサリアムをベースにした独自トークンBATのプレセール)をした翌日には、poloniexに「上場」していました。

ICOは、一般にトークンを発行して公衆から資金を調達することをいい、トークンセールとも呼ばれます。取引所への上場そのものを意味しません。当初の記事ではICOを上場と同一視する仮定で検討しましたが、この用語の使い方を訂正します。

 

4. 資金決済法第2条第5項

資金決済法を見ていきましょう。

そもそも「暗号通貨」のうち、法で定義された「仮想通貨」とはなんなのか?

資金決済法第2条(定義)

5 この法律において「仮想通貨」とは、次に掲げるものをいう。
一 物品を購入し、若しくは借り受け、又は役務の提供を受ける場合に、これらの代価の弁済のために不特定の者に対して使用することができ、かつ、不特定の者を相手方として購入及び売却を行うことができる財産的価値(電子機器その他の物に電子的方法により記録されているものに限り、本邦通貨及び外国通貨並びに通貨建資産を除く。次号において同じ。)であって、電子情報処理組織を用いて移転することができるもの
二 不特定の者を相手方として前号に掲げるものと相互に交換を行うことができる財産的価値であって、電子情報処理組織を用いて移転することができるもの

要するに、

◯相手がいて、その相手からモノを買ったり、借りたり、サービスを受けたときに、
◯「電子機器その他の物に電子的方法により記録されている」財産的価値のある、いわゆる暗号通貨のうち、
◯「不特定の者に対して使用することができ、かつ、不特定の者を相手方として購入及び売却を行うことができる」

ものは、「仮想通貨」になるということだと思います。

Also,

◯それを「電子情報処理組織を用いて移転すること」で、「不特定の者を相手方として前号に掲げるものと相互に交換を行うことができ」、かつ、「電子機器その他の物に電子的方法により記録されている」財産的価値(つまり、こちらは必ずしもさきほどのモノを買ったりサービスの提供を受けるために使われる必要がない?)

も、「仮想通貨」になるということだと思います。

最初の資金決済法第2条第5項第1号の「仮想通貨」は、例えば、現状、ビックカメラやマルイなど「不特定の者に対して」使えるBitcoinなどがドンピシャにハマるように思います。

次の同法同条同項第2号の「仮想通貨」は、上記のBitcoinなどとインターネット上などで「不特定の者を相手方として」交換できる、要するに、取引所に上場している暗号通貨などがハマるように思います。

以前、TechCrunchにこんな記事が出ていました。

【TechCrunch】株式のように自分の価値を取引できる「VALU」、購入にはビットコインを利用
 http://jp.techcrunch.com/2017/06/01/valu/

いま読むと、

(2017年6月2日18時11分 編集部注:VALU内外でのビットコインの扱いなど、記述に不足があったため、1,12,13段落の内容を加筆・修正しました)

とあるのですが、私の記憶では、「金融庁と話しているところ、VALUは資金決済法上の「仮想通貨」には当たらなさそう」という旨が最後に記載されていました。(記憶ベースなので、間違っていたらすいません。)

確かに、ビックカメラやマルイなどでモノを買ったりサービスの提供を受けることができず、あるいは、取引所にも上場しておらず、「不特定の者を相手方として」交換することもできないトークンは、暗号通貨だけれども仮想通貨ではないと言えるのかもしれません。

ただし、取引所へ上場していないことだけでは、当時の資金決済法上の「仮想通貨」に当たらないとは判断できません。トークンの利用・交換の可能性など、条文上の要件を確認する必要があります。

2017/9/5追記
その後もいろいろと考えているのですが・・・
VALUでは、人それぞれにBTC建ての価値が付き、売買の板があるので、ビットコインと交換できるのだとすると、資金決済法第2条第5項第2号に該当するのではないかという気もします。

 

5. 資金決済法第2条第7項

ここでも、資金決済法を見ていきましょう。

資金決済法第2条(定義)

7 この法律において「仮想通貨交換業」とは、次に掲げる行為のいずれかを業として行うことをいい、「仮想通貨の交換等」とは、第一号及び第二号に掲げる行為をいう。
一 仮想通貨の売買又は他の仮想通貨との交換
二 前号に掲げる行為の媒介、取次ぎ又は代理
三 その行う前二号に掲げる行為に関して、利用者の金銭又は仮想通貨の管理をすること。

要するに、

◯ビットコインなどの仮想通貨を、「業として」、販売所や交換所などで売ったり交換していたり、
◯そういったことを「媒介、取次ぎ又は代理」していたり、
◯それに関連して、「利用者の金銭又は仮想通貨の管理」をしたりすると、

「仮想通貨交換業者」になるということかと思います。

登録の要否は、上場前のプレセールか上場後の販売かという区別だけでは決まりません。発行するトークンが当時の法令上どのように位置付けられ、その売買・交換等を業として行うのかによって検討します。

「他の仮想通貨との交換」に当たるかだけでなく、仮想通貨の売買等に当たるかを含め、条文が掲げる各行為を確認する必要があります。トークンの呼称だけで登録不要とは結論付けられません。

また、蛇足ですが、OTC取引も、「業として」行わなければ、「仮想通貨交換業者」には当てはまらないのかもしれません。

 

6. トークンセールの段階で仮想通貨交換業ライセンスは必要か?

当初は上場前の販売なら登録が不要ではないかと考えましたが、上場の有無だけを根拠とするこの推論は訂正します。「暗号通貨」という呼称を用いれば法令上の「仮想通貨」に当たらない、ということでもありません。

本稿公表後の2017年10月27日、金融庁は、ICOの仕組みによっては資金決済法や金融商品取引法等の規制対象となり、登録等の義務を履行する必要があると説明しています。具体的な事業については、トークンと取引行為の法的性質に応じた確認が必要です。

 
以上、私見ですので間違っているところもあるかもしれず、「間違ってるんじゃね?」というところがありましたら、ぜひお気軽にご連絡ください。再度検討します。(実際、実務の現場ではいろいろと意見があり、結論も割れているように思います。)

また、上記は個人的な考察ですので、この考察をもとに生じた一切の損失について、弊事務所、弊社は、免責とさせていただきますことをお断りし、実際にトークンセールをされたり、仮想通貨をビジネスにされようとしている方は、顧問弁護士の先生などにご確認の上、取引を実行されてください。

訂正にあたり確認した資料

本稿の旧条文引用は2017年当時のものです。2026年9月7日、ICOの用語と上場前後による登録要否の推論を訂正しました。現在の事業の登録要否は、トークンの性質、行為の内容、現行の関係法令に基づいて確認する必要があります。

While we pay close attention to the information provided, if you notice any errorsContact UsI would appreciate it if you could let me know.

Back to list

Consultation by phone03-6447-1768

Yanagisawa International Tax Accounting FirmYanagisawa Research Institute Co., Ltd. (Group Company)Milione Properties Co., Ltd. (Group company)OneAsia International Co., Ltd. (Group Company)

7F SuSLOB Kitasando, 4-5-11 Sendagaya, Shibuya-ku, Tokyo 151-0051
Office Information
View map (Google Maps)