Cryptoasset taxation

令和5年12月版の暗号資産FAQ、法人税関係が11問増えた版

対象時点について:本稿は国税庁の令和5年12月25日資料の内容と、その後の改訂史を扱います。現在の取扱いは最新版でご確認ください。

この版の位置づけ

令和5年12月25日、国税庁は「暗号資産等に関する税務上の取扱いについて(情報)」を公表しました。暗号資産FAQとしては8番目の版にあたります。

問の数は45問です。前の版である令和4年12月22日版の34問から11問増え、法人税関係の説明が大幅に拡充された版です。

増えた11問は、いずれも法人税関係の章に入ります。個人にかかわる章の問の数は変わっていません。法人が期末に持っている暗号資産をどう評価するのか、その線の引き方を作り直した版だと読めます。

骨格

前の版からの変化 内容
問の数 34問から45問になりました。11問の増加で、法人税関係の説明が大幅に拡充されています。
章の割れ方 ≪3 法人税関係≫が「3-1 暗号資産関係」と「3-2 電子決済手段関係」の2つに分かれました。
3-1 に増えた問 7問が追加されました。3-1-4から3-1-10までです。
3-2 の新設 4問が新設されました。3-2-1から3-2-4までで、電子決済手段が章として立ったのはこの版が最初です。
個人の章 ≪1 所得税・法人税共通関係≫と≪2 所得税関係≫の問の数は変わっていません。
税制改正 令和5年度税制改正が背景にあります。前の版は、その大綱が閣議決定される前日に公表されていました。
目次の書き方 この版から、目次の各行に〔令和○年○月更新〕〔令和○年○月追加〕の注記が入るようになりました。

法人税関係は、なぜ2つに割れたのか

前の版で、法人税関係の問は3-1から3-6までの6問でした。この版では、その章がまず「3-1 暗号資産関係」と「3-2 電子決済手段関係」に分かれ、そのうえで枝番が振り直されています。番号が2段から3段に増えたのは、この割れ方によるものです。

3-2に置かれた4問は次のとおりです。取得したとき、譲渡したとき、期末を迎えたとき、という時間の順に並び、最後に外貨建てのものが置かれています。

  • 3-2-1 電子決済手段の取得時の課税関係
  • 3-2-2 電子決済手段の譲渡時の課税関係
  • 3-2-3 電子決済手段の期末時の課税関係
  • 3-2-4 外貨建電子決済手段の期末時の課税関係

電子決済手段は、いわゆるステーブルコインを指す法律上の呼び名です。別の章が必要になったのは、資金決済に関する法律が定める暗号資産の定義そのものが、電子決済手段を除いているからです。暗号資産の問をいくら読んでも、電子決済手段の扱いはそこから出てきません。定義の話は税法は「暗号資産」をどう定義しているのかで扱っています。

3-1に増えた7問は、何を線引きしているのか

3-1に追加されたのは、次の7問です。

  • 3-1-4 活発な市場が存在する暗号資産
  • 3-1-5 DEXにおいて取引される暗号資産
  • 3-1-6 ステーキングのためロックアップした暗号資産の期末時価評価
  • 3-1-7 貸付けをした暗号資産の期末時価評価
  • 3-1-8 借入れをした暗号資産の期末時価評価
  • 3-1-9 特定自己発行暗号資産に該当する暗号資産
  • 3-1-10 複数の事業者が共同発行する暗号資産

法人が期末に持っている暗号資産に時価評価を及ぼす仕組みは、平成31年度税制改正で入りました。大綱には、法人が事業年度末に有する仮想通貨のうち、活発な市場が存在する仮想通貨については時価評価により評価損益を計上する、と書かれています。売っていなくても、期末に持っているだけで損益が出るという扱いは、ここから始まっています。全体像は法人は、持っているだけで課税されるのかにまとめています。

追加された7問のうち、はじめの5問は、その仕組みがどこまで届くのかを問う形になっています。3-1-4は入口そのもので、活発な市場が存在するとはどういう状態かを扱います。法人税法施行令第118条の7は、売買の価格等が継続的に公表されていること、その公表のために十分な数量と頻度で取引が行われていることなどを要件として置いています。この要件の読み方は「活発な市場が存在する暗号資産」とは何かで詳しく扱っています。

3-1-5は、その入口を、取引所を介さない場での取引に当てて考える問です。3-1-6から3-1-8までの3問は、持ち方の側から入口を試します。ステーキングのために動かせない状態にしてある場合、他人に貸している場合、他人から借りている場合と、いずれも自由に売れる形で手元にあるわけではありません。それでも期末の評価はどうなるのか、という問が、それぞれ独立して立てられました。

3-1-9は、どの改正から来ているのか

3-1-9「特定自己発行暗号資産に該当する暗号資産」の背景にあるのは、令和5年度税制改正です。その大綱は令和4年12月23日に閣議決定され、法人が事業年度末において有する暗号資産のうち時価評価により評価損益を計上するものの範囲から、次の要件に該当する暗号資産を除外する、と定めています。挙げられている要件は2つです。

  • 自己が発行した暗号資産で、その発行の時から継続して保有しているものであること。
  • その暗号資産の発行の時から継続して、他の者に移転することができないようにする技術的措置がとられているか、一定の要件を満たす信託の信託財産としているか、のいずれかにより譲渡制限が行われているものであること。

同じ大綱には、自己が発行した暗号資産の取得価額をその発行に要した費用の額とすること、暗号資産交換業者以外の者から借り入れた暗号資産を譲渡し、事業年度末までに同じ種類の暗号資産を買い戻していない場合には、その時に買い戻したものとみなして損益相当額を計上することも書かれています。借入れをめぐる論点が大綱の側にも立っていた年に、FAQの側にも3-1-8が置かれた形です。

前の版が公表されたのは令和4年12月22日で、この大綱が閣議決定される前日にあたります。前の版がこの改正を織り込めていないのは、そのためです。自己発行トークンの扱いは自分で発行したトークンに、含み益課税はかかるのかで扱っています。3-1-10「複数の事業者が共同発行する暗号資産」は、この「自己が発行した」をどこまでと見るかに触れる問として、隣に置かれました。

目次の注記は、何を読めるようにしたのか

この版から、目次の各行の末尾に〔令和○年○月更新〕〔令和○年○月追加〕という注記が入るようになりました。どの問がいつ変わったのかを、読者が自分で追えるようになったということです。

ただし、注記は1行につき1つで、新しいほうに置き換わっていきます。最新の令和7年12月版の目次で〔令和5年12月追加〕が残っているのは、3-1-9と3-1-10、それに3-2-1から3-2-4までの6問だけです。この版で追加された残りの5問には〔令和6年12月更新〕が付いており、追加された年は目次からは読み取れません。

更新のほうも目次から拾えます。最新版の目次で〔令和5年12月更新〕が付いているのは7問です。3-1-1 暗号資産の譲渡損益の計上時期、暗号資産信用取引に関する3-1-12と3-1-14、消費税関係の6-1と6-2、財産債務調書に関する7-1と7-2が、それにあたります。番号は最新版のものですから、この版の時点の番号とは一致しません。改訂の全体像は暗号資産FAQ改訂史に、直前の版は令和4年12月版にまとめています。

実務で迷いが生じるところ

  • 手元にあるものが暗号資産なのか電子決済手段なのかで、読む章が変わります。見た目や呼び名だけでは分かれ目が決まりませんので、発行者の説明や登録の区分から確かめる必要があります。
  • ステーキングのためにロックアップしている暗号資産や、貸し付けている暗号資産は、感覚としては手元を離れています。ただし期末の評価については、それぞれ別に問が立っています。動かせないことと、評価の対象から外れることは、同じではありません。
  • 暗号資産の貸借は、決算期をまたぐと貸した側と借りた側の双方に問が生じます。自社の側で契約の中身を整理しておく必要があります。
  • 自社で発行したトークンについては、譲渡制限をどのような方法で掛けたのか、それが発行の時から途切れずに続いているのかを、記録で示せるかどうかが要点になります。掛けた時期があとからでは確かめられない形になっていると、説明が難しくなります。
  • 複数の事業者が共同で発行したトークンは、誰にとっての自己発行なのかが一義に決まりません。発行の主体をどう定めたのかを、発行時の取決めまで戻って確認することになります。
  • 目次の注記は最新のものだけが残ります。ある問がいつ追加されたのかを追うには、その時点の版のPDFを開くことになります。

出典

  • 国税庁「暗号資産等に関する税務上の取扱いについて(情報)」(令和5年12月25日) PDF
  • 国税庁「過去分の情報(暗号資産関係)」 一覧

本稿は令和5年12月25日版FAQの歴史的な解説です。2026年9月7日、問数の増加に関する比較と原資料名を訂正しました。本文の当時資料を現在の取引へそのまま適用しないでください。

While we pay close attention to the information provided, if you notice any errorsContact UsI would appreciate it if you could let me know.

Back to list

Consultation by phone03-6447-1768

Yanagisawa International Tax Accounting FirmYanagisawa Research Institute Co., Ltd. (Group Company)Milione Properties Co., Ltd. (Group company)OneAsia International Co., Ltd. (Group Company)

7F SuSLOB Kitasando, 4-5-11 Sendagaya, Shibuya-ku, Tokyo 151-0051
Office Information
View map (Google Maps)