Basics of International Taxation

ドバイのフリーゾーンとは?全体比較からわかる業種別の選び方と法人税の注意点

ドバイで会社を設立するとき、最初に出てくる選択肢が「フリーゾーン」です。

しかし、フリーゾーンは一つではありません。金融、IT、貿易、物流、医療、教育など、それぞれ異なる産業を支える拠点が整備されています。

「ドバイに会社を作る」と決めた後には、どのフリーゾーンで、どの事業ライセンスを取得するかという重要な判断が待っています。

本記事では、ドバイ首長国内のフリーゾーンを広く比較し、業種別の選び方と法人税の関係を解説します。移住やビザを含む全体像は、ドバイ移住の解説記事 Please see

フリーゾーンとは何か

フリーゾーンとは、独自の登録・ライセンス制度などを設け、企業の進出を受け入れる区域です。

外国人が会社を所有し、海外向けの事業を展開する拠点として利用されています。ただし、外国人による100%所有は現在ではメインランドでも広く認められているため、それだけがフリーゾーンを選ぶ理由ではありません。

重要なのは、事業に合った制度、施設、立地、企業集積を利用できることです。例えば、商品の輸出入には港湾や倉庫へのアクセスが重要です。一方、ソフトウェア開発では、技術人材や取引先との接点がより重要になるでしょう。

フリーゾーン選びは、会社の登記先と事業の拠点を設計する作業です。

ドバイには何か所あるのか

ドバイ・フリーゾーン評議会の公式Gatewayは「11当局・27フリーゾーン」と案内しています。一方、同サイトの個別紹介は21拠点です。

また、進出支援の場面では、区域名に加え、区域内の専門地区や会社設立サービスのブランド名も登場します。これらをすべて独立したフリーゾーンとして数えると、重複が生じます。

そこで本記事では、公式一覧の21拠点を一通り取り上げ、一覧外の専門地区・設立ブランドも補足します。以下の表を、法定の全区域を網羅した確定リストとして扱うものではありません。出典:Dubai Free Zones Council

なお、対象はドバイ首長国です。アブダビやシャルジャなど、他の首長国にあるフリーゾーンは含めていません。

地図で見るフリーゾーンの位置関係

①UAE全体 → ②ドバイ首長国 → ③市街地のフリーゾーンの順に確認できる地図です。対象地域をカラー、その外側をグレーで表示します。ドバイはUAEを構成する首長国の一つで、沿岸の市街地だけでなく、東側のハッタの飛び地も含みます。市街地へ拡大すると、ダウンタウン・旧市街・空港・港などの日本語の目印と、フリーゾーンの位置を確認できます。

所在地:Dubai Free Zones Council公式案内の地図リンク。Internet Cityは同案内の地区名と地区座標を参照。地図は代表地点であり、法的な区域境界を示すものではありません。IFZAなどの設立ブランド・専門地区は下の比較表で補足しています。

公式一覧の21拠点を比較する

下表の分野は、各拠点の特色を示すものです。その業種なら必ず入居できる、またはその業種しか入居できないという意味ではありません。実際には、申請する事業内容とライセンスの適合確認が必要です。

拠点主な特色・検討する事業
DIFC:Dubai International Financial Centre金融・投資・資産運用。金融業の制度と監督体制が重要な事業
DMCC:Dubai Multi Commodities Centre商品取引・国際貿易を中心とする企業集積
JAFZA:Jebel Ali Free Zone港湾を利用する貿易、物流、製造、倉庫
DAFZ:Dubai Airport Freezone空港アクセスを重視する国際ビジネス
Dubai South航空・物流など、空港周辺の事業展開
Dubai CommerCityEC・デジタル商取引と配送・物流
Meydan Free Zoneサービス業や商業活動などの設立候補
Dubai World Trade Centre Free Zone都市中心部のビジネス拠点
Dubai Silicon Oasisテクノロジー関連の事業拠点
Dubai Internet CityIT・ソフトウェアなどの技術企業
Dubai Media Cityメディア関連
Dubai Studio City映画・映像・放送制作
Dubai Production City制作・出版関連
Dubai Design District:d3デザイン・ファッション関連
Dubai Outsource City業務受託・アウトソーシング
Dubai Knowledge Park人材育成・研修関連
Dubai International Academic City大学・高等教育関連
Dubai Science Park科学・研究関連
Dubai Healthcare City医療・ヘルスケア関連
Dubai Humanitarian人道支援関連
Expo City Dubai万博跡地を活用した事業拠点

掲載拠点の確認はドバイ政府の一覧を、具体的な施設・事業内容は各運営者の案内を参照してください。

一覧だけでは拾えない専門地区・設立ブランド

実際の会社設立では、次の名称も登場します。前の表と単純に足し合わせず、どの当局・区域の下で登録されるのかを確認することが大切です。

Name位置づけと確認ポイント
IFZADubai Silicon Oasisとの提携に基づく設立拠点。DSOと別個の区域として二重に数えない
DUQEQueen Elizabeth 2を拠点とし、PCFCとの提携で展開する設立サービス
Gold & Diamond Park宝飾関連の専門拠点。登録・ライセンスはJAFZAが扱う
Dubai Auto Zone/DUCAMZ自動車貿易の専門地区
Dubai Textile City繊維取引の専門フリーゾーン
Dubai Maritime City海事関連の拠点。登録・ライセンスはJAFZAが扱う
DAFZA Industrial ParkDIEZに関する法令で区画が定められている地区
EZDubai・Logistics DistrictDubai South内のEC・物流関連地区

自動車地区はDP World公式資料、DIEZ地区は2022年決議も参照。

名前が似ていても、フリーゾーンではない施設がある

Dubai Industrial Cityは、公式FAQでフリーゾーンではないと説明しています。National Industries Parkも同様です。

工業団地やビジネス地区であることと、フリーゾーンであることは別です。会社設立の比較では、名称や古い紹介記事だけで判断しないようにしましょう。Dubai Industrial City公式FAQ and National Industries Park公式FAQ

主要な候補は、事業内容によって変わる

貿易・物流・製造なら、商品の流れから選ぶ

海上輸送を利用する事業では、ジェベル・アリ港と接続するJAFZAが主要候補になります。倉庫や工場など、実物の設備を必要とする企業にとって、立地はそのまま事業効率に影響します。JAFZAの公式紹介

航空輸送を重視する場合にはDAFZやDubai South、ECと配送を一体で考える場合にはDubai CommerCityも比較対象です。DAFZ and Dubai South and Dubai CommerCity

会社設立費用だけでなく、商品をどこから仕入れ、どこに保管し、誰に届けるかまで考えて選びます。

IT・サービス業なら、ライセンスと運営体制から選ぶ

IT企業の集積を重視するならDubai Internet Cityが候補になります。一方、サービス業の設立では、MeydanやIFZAなども含め、自社の活動に対応するライセンスと必要なオフィス条件を比較します。Dubai Internet Cityの公式紹介

一人で海外顧客向けにサービスを提供する会社と、現地で人を採用して開発する会社では、必要な設備もビザの人数も違います。

「設立が安い」だけで決めず、更新費用、オフィス、雇用、銀行口座、会計・税務まで含めて比較することが重要です。

金融・ファンド事業なら、先に業規制を確認する

金融分野ではDIFCが主要候補です。ただし、法人を登録できることと、金融サービスを提供できることは別です。

DIFC内またはDIFCから規制対象の金融サービスを行う場合、DFSAの認可が問題になります。ファンド運営、投資助言、自己資金による投資などを区別し、実際の業務から検討する必要があります。DFSAの認可案内

暗号資産事業は、「ブロックチェーン企業」で一括りにしない

ソフトウェアを開発する会社、交換サービスを提供する会社、顧客資産を保管する会社では、規制上の扱いが異なります。

DIFCを除くドバイの暗号資産関連活動では、VARAの規制対象となるかを確認します。フリーゾーンの商業ライセンスを取得しただけで、暗号資産サービスを自由に提供できるわけではありません。VARA公式FAQ

当事務所が海外展開を検討する際も、事業・法務・税務を切り離さず、必要に応じて現地専門家と連携して整理します。

フリーゾーンなら法人税は0%なのか

フリーゾーンに設立したという理由だけで、すべての利益が法人税0%になるわけではありません。

UAE法人税では、一定の要件を満たすQualifying Free Zone Personについて、Qualifying Incomeに0%税率を適用する仕組みがあります。

確認するのは所在地だけではありません。事業の実体、収入の種類、取引相手、対象活動・除外活動、会計・監査などの要件も関係します。

例えば、「海外顧客向けのコンサルティングだから0%」とは一律に判断できません。UAE連邦税務庁・Free Zone Personsガイド

また、対象活動・除外活動に関する規定は2025年にも更新されています。古い「フリーゾーンは無税」という説明を、そのまま現在の事業計画に使うことはできません。UAE財務省・2025年の制度更新

選ぶ順番は「事業→規制→拠点→税務・費用」

フリーゾーンの名称から選び始めるより、次の順番で整理すると候補を絞りやすくなります。

事業内容 → 業規制 → 拠点・体制 → 税務・総費用
StageTo be confirmed
①事業内容誰に、何を、どこで提供するか
②業規制金融・暗号資産・医療・教育などの追加認可が必要か
③拠点港、空港、倉庫、オフィス、人材へのアクセス
④会社・ビザ株主構成、採用人数、必要な居住ビザ
⑤税務UAE法人税に加え、日本側の課税関係
⑥総費用設立時だけでなく、更新・賃料・会計・監査等の継続費用

実務では、これらを行き来しながら調整します。特に税務と業規制は、会社を作った後に確認するのでは遅い場合があります。

ドバイ進出は、日本側も含めて設計する

ドバイで会社が設立できても、それだけで海外展開の準備が完了するわけではありません。

日本に残る事業や資産、経営者の生活の本拠、実際に仕事を行う場所、日本法人との取引なども整理する必要があります。

フリーゾーンの比較表は、その入口です。自社の事業に合う候補を絞り、ライセンス、運営体制、税務を具体化していくことで、継続して使える海外拠点になります。

ドバイへの移住・会社設立を含むご相談は、International tax consultation Please see

調査基準日:2026年10月20日。掲載分野は各拠点の特色を整理したものであり、個別事業の許可や税務上の適格性を示すものではありません。

本稿は2026年10月20日時点の法令に基づく一般的な解説です。実行の前に必ず個別にご相談ください。

We take care in preparing this information. If you notice an error, please let us know through our contact page.

Back to the list