源泉徴収した所得税を、納期限までに納めませんでした。そのときに本税とは別に課されるのが不納付加算税です。国税通則法第六十七条に定めがあります。
この記事は、源泉所得税の納付が遅れたことに気づいた経理担当者と経営者が、いま何をすればいくら軽くなるのかを判断するための地図です。
納める側ではなく、預かって納める側の話
不納付加算税の対象は源泉徴収等による国税です。国税通則法第二条は、これを「源泉徴収に係る所得税及び国際観光旅客税法第二条第一項第七号(定義)に規定する特別徴収に係る国際観光旅客税(これらの税に係る附帯税を除く。)」と定義しています。
自分の税金を過少に申告した話ではなく、他人から預かった税金を期限までに国へ納めなかった話です。だから過少申告加算税や無申告加算税と違い、申告の有無ではなく納付の遅れだけを見ます。
法定納期限はいつか
給与等の源泉所得税であれば、所得税法第百八十三条により、徴収の日の属する月の翌月10日までです。
給与の支払を受ける者が常時10人未満の事務所等について所轄税務署長の承認を受けているときは、所得税法第二百十六条の納期の特例により、1月から6月までの分は7月10日まで、7月から12月までの分は翌年1月20日までとなります。この承認を受けているかどうかで、遅れているかどうかの判定自体が変わります。
割合は10%。自主的に納めれば5%
第六十七条第一項は、納税の告知に係る税額、または法定納期限後に告知を受けることなく納付された税額に、10%を乗じた金額を徴収すると定めています。
第六十七条第二項により、告知を受けることなく法定納期限後に納付した場合で、その納付が「当該国税についての調査があつたことにより当該国税について当該告知があるべきことを予知してされたものでないとき」は、5%に下がります。税務署から連絡が来る前に自分で納めたかどうかが分かれ目です。
1月以内に納めれば課されない場合がある
第六十七条第三項は不適用を定めています。第二項に該当する納付であって、「法定納期限までに納付する意思があつたと認められる場合として政令で定める場合」に該当してされたものであり、かつ、その源泉徴収等による国税が法定納期限から1月を経過する日までに納付されたものであるときは、第一項を適用しません。
納付漏れに気づいたときに最初に確認すべきはここです。1月の枠に入るかどうかで、10%か5%かゼロかが決まります。政令で定める場合の中身まで含めて確認する必要があります。
正当な理由があると認められる場合
第六十七条第一項にはただし書があり、「当該告知又は納付に係る国税を法定納期限までに納付しなかつたことについて正当な理由があると認められる場合は、この限りでない」とされています。
納付の遅れという単純な事実だけで自動的に決まる規定ではなく、正当な理由の有無を争う入口が条文上に置かれています。
隠蔽・仮装があれば重加算税に置き換わる
納税者が事実の全部または一部を隠蔽または仮装し、それに基づいて法定納期限までに納付しなかったときは、第六十八条第三項により、不納付加算税に代えて35%の重加算税が徴収されます。第六十七条第一項ただし書、第二項または第三項の適用がある場合は除かれます。
さらに繰り返しに当たるときは、第六十八条第四項により10%が加算されます。
いつ成立し、いくらから課されるか
不納付加算税の納税義務は、法定納期限の経過の時に成立します(第十五条)。過少申告加算税や無申告加算税が法定申告期限の経過の時に成立するのと対になっています。
端数は、計算の基礎となる税額の1万円未満を切り捨て、確定した加算税の額の100円未満を切り捨て、全額が5,000円未満なら全額を切り捨てます(第百十八条、第百十九条)。税目は本税と同じです(第六十九条)。
なお、納付が遅れた期間については、これとは別に延滞税がかかります。
実務でよく相談を受ける点
多いのは、役員賞与や外注先への報酬について、あとから源泉徴収の対象だったと分かる場面です。この場合は納期限がすでに過ぎており、1月の枠にも入りません。どの時点の支払と評価されるかで納期限が動くため、支払の事実関係を整理してからご相談ください。
附帯税全体の位置づけは附帯税の全体像にまとめています。
根拠条文
- 国税通則法第2条第2号及び第4号(定義)
- 国税通則法第15条第2項第15号(納税義務の成立及びその納付すべき税額の確定)
- 国税通則法第36条第1項(納税の告知)
- 国税通則法第67条第1項から第3項まで(不納付加算税)
- 国税通則法第68条第3項及び第4項(重加算税)
- 国税通則法第69条(加算税の税目)
- 国税通則法第118条第3項(国税の課税標準の端数計算等)
- 国税通則法第119条第4項(国税の確定金額の端数計算等)
- 所得税法第183条第1項(源泉徴収義務)
- 所得税法第216条(源泉徴収に係る所得税の納期の特例)
条文の見出しは e-Gov 法令検索の法令データで確認しています。
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