Basics of International Taxation

過少資本税制とは

過少資本税制とは、内国法人が国外の親会社等から過大な借入れを行い、支払利子を損金に算入することで日本の課税所得を圧縮する行為を防ぐための制度です。負債(借入金)に偏った資本構成(過少資本)を是正する目的から、この名で呼ばれます。租税特別措置法第六十六条の五に規定があります。

誰に適用されるか

適用対象は内国法人です。国外支配株主等(内国法人の発行済株式等の50%以上を直接・間接に保有するNon-residentまたはforeign corporationその他政令で定める特殊関係者をいいます)または資金供与者等(内国法人に資金を供与する者およびその供与に関係のある者として政令で定める者をいいます)に対して負債の利子等(負債の利子その他政令で定める費用をいいます)を支払う場合が対象となります(第1項)。

発動する条件(3倍基準)

第1項は、当該事業年度における国外支配株主等および資金供与者等に対する負債の平均負債残高(負債の額の平均額として政令で定めるところにより計算した金額)が、国外支配株主等の資本持分(各事業年度の国外支配株主等の内国法人の純資産に対する持分として政令で定めるところにより計算した金額)の3倍に相当する金額を超えるときに適用されます。

ただし書きとして、当該内国法人の総負債に係る平均負債残高が自己資本の額(各事業年度の純資産の額として政令で定めるところにより計算した金額)の3倍に相当する金額以下となる場合は、適用されません。つまり、国外支配株主等・資金供与者等に対する負債のTotalが資本持分の3倍を超えていても、会社全体の総負債が自己資本の3倍以下に収まっていれば、過少資本税制は発動しません。判定は貸し手ごとではなく、これら全体の合計で行います。

効果

上記の3倍基準で超える部分に対応するものとして政令で定めるところにより計算した金額は、当該内国法人のその事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入されません(第1項)。具体的な計算方法は政令に委任されており、法律(本条)には計算式が置かれていません。

特定債券現先取引等がある場合の特例(第2項)

国外支配株主等・資金供与者等に対する負債のうちに特定債券現先取引等(債券現先取引および現金担保付債券貸借取引で政令で定めるものをいいます)に係る負債があるときは、政令で定めるところによりこれを平均負債残高・負債の利子等の額から控除して計算することができます。この特例を適用する場合、第1項の「三倍」は「二倍」と読み替えられます。適用には確定申告書等への書面添付と明細書の保存が要件です(第6項)。

類似法人の倍率による代替(第3項)

内国法人は、国外支配株主等の資本持分および自己資本の額に係る各倍数(3倍)に代えて、当該内国法人と同種の事業を営み事業規模その他の状況が類似する内国法人の総負債の額の純資産の額に対する比率として政令で定める比率に照らし妥当と認められる倍数を用いることができます。適用には、確定申告書等への書面添付および倍数の妥当性を明らかにする書類等の保存が要件です(第8項)。

次条(過大支払利子税制)との調整(第4項)

第4項は、その事業年度に係る第1項(第2項の読み替え後を含む)の損金不算入額が、同じ事業年度に係る「次条」第1項の超える部分の金額を下回る場合には、第1項を適用しないとしています。ここでいう「次条」は第六十六条の五の二であり、対象純支払利子等の額が調整所得金額の20%を超える部分を損金不算入とする過大支払利子税制です。つまり両制度が重複しうる場面では、否認額の大きい側だけが働きます。

ただし、次条第3項(過大支払利子税制の適用免除。対象純支払利子等の額が2,000万円以下である場合など)の適用があるときは、この調整は行われません(同項が適用されて次条の否認が生じない以上、過少資本税制は退きません)。条文の「同条第三項」は本条の第3項ではなく、次条(第六十六条の五の二)の第3項を指す点に注意が必要です。

実務上の注意

  • 損金不算入額の計算、平均負債残高・資本持分・自己資本の額の算定方法は、いずれも政令に委任されており、法律の条文だけでは計算できません。
  • 特定債券現先取引等の特例(第2項)、類似法人の倍率による代替(第3項)は、いずれも確定申告書等への書面添付と書類保存が適用要件です。やむを得ない事情がある場合の救済規定もあります(第7項・第9項)。
  • 国外支配株主等が2以上ある場合の計算その他の必要事項も政令に委任されています(第10項)。

Legal basis

  • 租税特別措置法第六十六条の五 第1項〜第10項(全項を通読)
  • 租税特別措置法第六十六条の五の二 第1項、第3項(第4項の「次条」「同条第三項」の内容確認のため)

This article is a general commentary based on laws and regulations as of August 31, 2026. Please obtain advice on your individual circumstances before taking action.

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