税制改正大綱レビュー

平成26年度税制改正大綱で決まったこと、復興特別法人税の廃止と投資減税

何が、いつ、誰の手で決まったのか

平成26年度税制改正の大綱は、平成25年12月24日に閣議決定された政府の大綱です。原文の表題の下には「平成25年12月24日 閣議決定」とだけ記されています。前の年に決まった消費税率の引上げを受けて経済をどう支えるかが、この年の出発点です。その姿勢は前文に表れています。

現下の経済情勢等を踏まえ、デフレ脱却・経済再生に向け、「消費税率及び地方消費税率の引上げとそれに伴う対応について」(平成25年10月1日閣議決定)において決定した投資減税措置等や所得拡大促進税制の拡充に加え、復興特別法人税の1年前倒しでの廃止、民間投資と消費の拡大、地域経済の活性化等のための税制上の措置を講ずる。

大綱は二部構成です。前半のⅠが「消費税率及び地方消費税率の引上げとそれに伴う対応について」での決定事項、後半のⅡが「Ⅰに追加して決定する事項」です。近年の大綱の読み方は令和8年度税制改正大綱のポイントもあわせてご覧ください。

大綱の柱

二部あわせて13の章が置かれています。章の名前と決まったことは次のとおりです。

その章で決まったこと
民間投資の活性化 生産性向上設備投資促進税制が創設されます。
中小企業対策 中小企業者等が機械等を取得した場合の制度が拡充されます。
民間企業等によるベンチャー投資等の促進 ベンチャー投資を促進するための税制措置が創設されます。
収益力の飛躍的な向上に向けた経営改革の促進 事業再編を促進するための税制措置が創設されます。
設備投資につながる制度・規制面での環境整備への対応 既存建築物の耐震改修投資について25%の特別償却が創設されます。
所得の拡大 所得拡大促進税制の要件が緩められ、2年延長されます。
個人所得課税 給与所得控除の上限が漸次引き下げられます。
資産課税 医業継続に係る相続税・贈与税の納税猶予等が創設されます。
法人課税 復興特別法人税が1年前倒しで終了し、交際費等の制度も見直されます。
消費課税 自動車取得税が下がり、軽自動車税が上がります。
国際課税 外国法人の課税原則が「総合主義」から「帰属主義」に変わります。
納税環境整備 換価の猶予の特例(申請)が創設されます。
関税 暫定税率等の適用期限が延長されます。

大綱に添えられた増減収見込額の合計は、平年度で4,470億円の減収、初年度で5,810億円の減収です。減収額がいちばん大きいのは生産性向上設備投資促進税制の創設で、平年度2,990億円とされています。前年の平成25年度税制改正の大綱、翌年の平成27年度税制改正の大綱と並べて読むと、この年の力点が見えます。

復興特別法人税を1年前倒しで終える

法人課税の先頭に置かれたのが復興特別法人税です。大綱は、その課税期間を1年間前倒しして終了することとしています。

課税期間が終わったあとの扱いも定められています。課税期間終了後に法人が利子及び配当等について課される復興特別所得税の額は、同じく利子及び配当等に課される所得税の額と合わせて、各事業年度の法人税の額から控除されます。控除しきれなかった金額があるときは、その金額が還付されます。地方税では、この控除について法人住民税で所要の措置が講じられます。

設備投資に特別償却か税額控除かを選ばせる

民間投資の活性化の柱が、「生産性向上設備投資促進税制」の創設です。青色申告書を提出する法人が、産業競争力強化法の施行の日から平成29年3月31日までの間に、機械装置、工具、器具備品、建物、建物附属設備、構築物及びソフトウエアのうち、同法に規定する生産性向上設備等に該当し、かつ一定の規模以上のものを取得等して事業の用に供した場合が対象です。

効果は選択制です。取得価額の50%(建物及び構築物については、25%)の特別償却と、取得価額の4%(建物及び構築物については、2%)の税額控除のどちらかを選べます。税額控除における控除税額は、当期の法人税額の20%が上限です。平成28年3月31日までに取得等をしたものは、普通償却限度額との合計で取得価額まで償却できる特別償却と、取得価額の5%(建物及び構築物については、3%)の税額控除との選択適用です。

「一定の規模以上」の下限は資産の種類ごとに決められており、機械装置は1台又は1基の取得価額が160万円以上、工具及び器具備品はそれぞれ120万円以上、建物、建物附属設備及び構築物はそれぞれ一の取得価額が120万円以上、ソフトウエアは一の取得価額が70万円以上です。

中小企業者等が機械等を取得した場合の特別償却又は税額控除制度は適用期限が3年延長され、生産性向上設備等に該当するものは取得価額までの特別償却(現行:30%の特別償却)ができることとされます。税額控除は中小企業者等が7%、特定中小企業者等が10%(現行:7%)です。

賃上げをした会社の税額控除を使いやすくする

「所得拡大促進税制」、すなわち雇用者給与等支給額が増加した場合の税額控除制度は、適用期限が2年延長されるとともに、要件が二つ緩められます。

一つ目は、給与を増やした割合です。現行は5%以上が求められていましたが、適用年度の区分に応じて次のとおりとされます。

適用年度 雇用者給与等支給増加割合の要件
平成27年4月1日前に開始する適用年度 2%以上
平成27年4月1日から平成28年3月31日までの間に開始する適用年度 3%以上
平成28年4月1日から平成30年3月31日までの間に開始する適用年度 5%以上

二つ目は、平均給与等支給額に係る要件です。計算の基礎となる給与等が国内雇用者に対する給与等から継続雇用者に対する給与等に見直されたうえで、平均給与等支給額が比較平均給与等支給額を上回ることが求められます(現行:以上であること)。継続雇用者に対する給与等とは、適用年度及びその前年度において給与等の支給を受けた国内雇用者に対する給与等のうち、雇用保険法の一般被保険者に対する給与等をいいます。

給与所得控除の上限を段階的に引き下げる

個人所得課税では、給与所得控除の上限が漸次引き下げられます。上限額が適用される給与収入と、上限額そのものが、二段階で下がります。

項目 現行 平成28年分の所得税 平成29年分以後の所得税
上限額が適用される給与収入 1,500万円 1,200万円 1,000万円
給与所得控除の上限額 245万円 230万円 220万円

個人住民税については、平成28年分に対応する部分が平成29年度分について適用され、平成29年分以後に対応する部分が平成30年度分から適用されます。同じ章では企業型確定拠出年金の拠出限度額も引き上げられ、他の企業年金がない場合は月額5.1万円から5.5万円になります。

交際費のうち飲食費の半分を損金にできる

交際費等の損金不算入制度は、適用期限が2年延長されるとともに、内容が見直されます。交際費等の額のうち、飲食のために支出する費用の額の50%を損金の額に算入することとされます。ただし、飲食のために支出する費用には、専らその法人の役員、従業員等に対する接待等のために支出する費用、いわゆる社内接待費は含まれません。

中小法人にはもともと損金算入の特例があります。この特例は、上記の飲食費の50%を損金算入する措置との選択適用とされたうえで、適用期限が2年延長されます。どちらが有利かは支出の中身によって変わります。

車体課税を組み替え、消費税の実務も見直す

自動車取得税を下げ、軽自動車税を上げる

平成26年4月1日以後に取得される自動車に課する自動車取得税の税率が引き下げられます。自家用の自動車(軽自動車を除きます)は100分の5から100分の3に、営業用の自動車及び軽自動車は100分の3から100分の2になります。「自動車取得税のエコカー減税」も拡充され、税率を75%軽減する自動車の軽減割合が80%に、50%軽減する自動車の軽減割合が60%に引き上げられます。

一方で、軽自動車税は引き上げられます。四輪以上の乗用・自家用は7,200円から10,800円に、貨物用・自家用は4,000円から5,000円になり、平成27年4月1日以後に新規取得される新車から適用されます。原動機付自転車の50cc以下は1,000円から2,000円になり、平成27年度分以後について適用されます。最初の新規検査から13年を経過した四輪以上の乗用・自家用は12,900円とされ、平成28年度分以後について適用されます。

簡易課税のみなし仕入率と、免税店の対象物品

消費税の簡易課税制度のみなし仕入率が見直されます。金融業及び保険業は第5種事業とされてみなし仕入率が60%から50%に、不動産業は第6種事業とされて50%から40%になります。この改正は、平成27年4月1日以後に開始する課税期間について適用されます。

外国人旅行者向け消費税免税制度、いわゆる輸出物品販売場制度も見直されます。免税販売の対象物品に消耗品が加わりますが、同一店舗で1日に販売する50万円までの消耗品に限られます。あわせて、その消耗品の額が5千円超であること、定められた方法により包装すること、購入後30日以内に輸出することを免税購入する旅行者が誓約することが前提とされます。平成26年10月1日以後に行われる課税資産の譲渡等について適用されます。

ご自身に関係があるかを見分けるには

  • 設備投資を予定している会社を経営している方は、民間投資の活性化と中小企業対策の章をご覧ください。資産の種類ごとに取得価額の下限があります。
  • 従業員の給与を引き上げようとしている方は、所得の拡大の章をご覧ください。増加割合の要件が適用年度ごとに変わります。
  • 給与収入が1,500万円を超える方は、個人所得課税の章をご覧ください。控除の上限が平成28年分と平成29年分以後の二段階で下がります。
  • 取引先との会食が多い会社を経営している方は、法人課税の章をご覧ください。飲食費の50%を損金算入する措置と中小法人の特例は選択適用です。
  • 車の買い替えを考えている方は、消費課税の章をご覧ください。自動車取得税と軽自動車税では、税率が変わる時期が別です。
  • 簡易課税制度を選んでいる金融業、保険業、不動産業の方は、消費課税の章をご覧ください。みなし仕入率と事業区分が変わります。

出所

  • 「平成26年度税制改正の大綱」(平成25年12月24日 閣議決定)

本稿は2026年9月6日時点の法令に基づく一般的な解説です。実行の前に必ず個別にご相談ください。

記載には注意を払っていますが、誤りにお気づきの際はお問い合わせよりご一報いただけると幸いです。

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