更正処分などに不服があるとき、第三者機関の判断を求める手続が審査請求です。判断するのは国税不服審判所。国税通則法第七十八条以下に定めがあります。
裁判所ではありません。行政機関です。ただし、処分をした税務署や国税局とは別の組織として置かれています。
国税不服審判所とは
第七十八条第一項です。
国税不服審判所は、国税に関する法律に基づく処分についての審査請求…に対する裁決を行う機関とする。
第二項は、国税不服審判所の長は国税不服審判所長とし、国税庁長官が財務大臣の承認を受けて任命すると定めています。
第三項により、事務の一部を取り扱わせるため所要の地に支部が置かれます。各支部に勤務する国税審判官のうち1人が首席国税審判官となり、支部の事務を総括します(第四項)。支部の名称と位置は財務省令で定められます(第五項)。
誰が審理するか
第七十九条第一項により、国税不服審判所には国税審判官と国税副審判官が置かれます。
国税審判官が審査請求に係る事件の調査および審理を行い、国税副審判官はその命を受けて事務を整理します(第二項)。国税審判官の資格は政令で定められます(第四項)。
そして第九十四条第一項です。
国税不服審判所長は、審査請求に係る事件の調査及び審理を行わせるため、担当審判官一名及び参加審判官二名以上を指定する。
1件につき最低3人の合議体で見る、ということです。
第二項は、指定してはならない者を7号にわたって列挙しています。その処分または再調査の請求の決定に関与した者(第一号)、審査請求人本人やその親族・代理人(第二号〜第五号)などです。
手続の流れ
条文の順に並べると、次のようになります。
| 条 | 内容 |
|---|---|
| 87条 | 審査請求書の記載事項(処分の内容、知った年月日、趣旨および理由、年月日) |
| 91条 | 不備があるときの補正 |
| 93条 | 原処分庁から答弁書を提出させ、審査請求人・参加人に送付する |
| 95条 | 審査請求人が反論書を提出できる |
| 95条の2 | 口頭意見陳述 |
| 96条 | 証拠書類・証拠物の提出 |
| 97条 | 担当審判官による質問・物件の提出要求・検査・鑑定 |
| 97条の3 | 提出された物件の閲覧・写しの交付を求められる |
| 97条の4 | 審理手続の終結 |
| 98条 | 裁決 |
第九十三条第一項の「原処分庁」は、審査請求の目的となった処分に係る行政機関の長を指します。この語の定義もこの項にあります。
相手が出した書類を見られる
第九十七条の三第一項は、実務上とても重要な規定です。
審理関係人は、審理手続が終結するまでの間、担当審判官に対し、第九十六条(証拠書類等の提出)や第九十七条第一項第二号(審理のための提出要求)により提出された書類その他の物件の閲覧、またはその写しの交付を求めることができます。
そして、担当審判官は「第三者の利益を害するおそれがあると認めるとき、その他正当な理由があるときでなければ、その閲覧又は交付を拒むことができない」とされています。
拒めるのは例外である、という書き方になっています。
交付を受けるときは、政令で定める額の手数料が必要です(第四項)。経済的困難その他特別の理由があるときは減免されます(第五項)。
口頭で意見を述べ、原処分庁に質問できる
第九十五条の二第一項により、審査請求人または参加人の申立てがあれば、担当審判官は口頭で意見を述べる機会を与えなければなりません。
第二項です。
前項の規定による意見の陳述…に際し、前項の申立てをした者は、担当審判官の許可を得て、審査請求に係る事件に関し、原処分庁に対して、質問を発することができる。
許可は要りますが、税務署や国税局に直接質問を向けられる場面です。
裁決の3つの型
第九十八条です。
- 第一項 却下(期間経過後その他不適法な場合)
- 第二項 棄却(理由がない場合)
- 第三項 取消しまたは変更(理由がある場合)。ただし審査請求人の不利益に変更することはできない
- 第四項 裁決は担当審判官および参加審判官の議決に基づいてしなければならない
第四項があるため、担当審判官1人の判断で決まるわけではありません。
通達と違う判断ができる
第九十九条です。国税不服審判所長が、国税庁長官が発した通達に示されている法令の解釈と異なる解釈により裁決をするとき、または重要な先例となると認められる裁決をするときは、あらかじめその意見を国税庁長官に通知しなければなりません。
第二項により、国税庁長官は、審判所長の意見が審査請求人の主張を認容するものであり、かつ国税庁長官がその意見を相当と認める場合を除き、審判所長と共同して国税審議会に諮問しなければなりません。諮問した場合、審判所長はその議決に基づいて裁決をします(第三項)。
通達と異なる判断の道は、条文上開かれています。
裁決は行政庁を拘束する
第百二条第一項です。
裁決は、関係行政庁を拘束する。
処分が取り消されれば、行政機関はそれに従います。
実務でよく相談を受ける点
- 主張と証拠をどう組み立てるか。第八十七条第三項は、理由において「処分に係る通知書その他の書面により通知されている処分の理由に対する審査請求人の主張が明らかにされていなければならない」としています。処分理由に噛み合った反論が求められています。
- 第九十七条の三の閲覧・写しの交付をどこまで使うか。
- 口頭意見陳述で何を聞くか。
準備の質がそのまま結果に出る手続です。処分を受けた段階でご相談ください。
根拠条文
- 国税通則法第78条(国税不服審判所)
- 国税通則法第79条(国税審判官等)
- 国税通則法第87条(審査請求書の記載事項等)
- 国税通則法第91条(審査請求書の補正)
- 国税通則法第93条(答弁書の提出等)
- 国税通則法第94条(担当審判官等の指定)
- 国税通則法第95条(反論書等の提出)
- 国税通則法第95条の2(口頭意見陳述)
- 国税通則法第96条(証拠書類等の提出)
- 国税通則法第97条(審理のための質問、検査等)
- 国税通則法第97条の3(審理関係人による物件の閲覧等)
- 国税通則法第97条の4(審理手続の終結)
- 国税通則法第98条(裁決)
- 国税通則法第99条(国税庁長官の法令の解釈と異なる解釈等による裁決)
- 国税通則法第102条(裁決の拘束力)
条文の見出しは e-Gov 法令検索の法令データで確認しています。
本稿は2026年8月31日時点の法令に基づく一般的な解説です。実行の前に必ず個別にご相談ください。
記載には注意を払っていますが、誤りにお気づきの際はお問い合わせよりご一報いただけると幸いです。










