更正処分や決定処分に納得がいかないとき、最初に選べる手続のひとつが再調査の請求です。国税通則法第七十五条第一項第一号イに定めがあります。
処分をした行政機関に、もう一度見直してもらう手続です。
選ぶのは納税者
第七十五条第一項第一号は、税務署長・国税局長・税関長がした処分に不服がある者は、次のうちその処分に不服がある者の選択するいずれかの不服申立てをすることができる、としています。
- イ その処分をした税務署長・国税局長・税関長に対する再調査の請求
- ロ 国税不服審判所長に対する審査請求
つまり、再調査の請求を経ずに、いきなり審査請求をしてもかまいません。再調査の請求は必須の前置手続ではありません。
なお、国税庁長官がした処分については国税庁長官に対する審査請求(第二号)、国税庁・国税局・税務署・税関以外の行政機関の長等がした処分については国税不服審判所長に対する審査請求(第三号)と、ルートが分かれます。
誰に出すか
処分をした行政機関そのもの、です。第八十一条第三項は、再調査の請求がされている税務署長その他の行政機関の長を「再調査審理庁」と呼んでいます。
処分をした人が、自分の処分をもう一度見直す。これが再調査の請求の性質です。第三者機関である国税不服審判所の審査請求とは、ここが根本的に違います。
期間は3か月
第七十七条第一項です。
不服申立て(第七十五条第三項及び第四項(再調査の請求後にする審査請求)の規定による審査請求を除く。第三項において同じ。)は、処分があつたことを知つた日(処分に係る通知を受けた場合には、その受けた日)の翌日から起算して三月を経過したときは、することができない。ただし、正当な理由があるときは、この限りでない。
冒頭の括弧書きは、再調査の請求をした後にする審査請求(第七十五条第三項・第四項)を、この3か月ルールから外しています。このうち、再調査の決定を経た後にする審査請求(第三項)の期間は、後述のとおり1か月です。決定を経ないでする審査請求(第四項)は、決定が出ない状態が続いている間にするものなので、第七十七条の期間制限の対象になっていません。
起算点は「知った日」であり、通知を受けた場合はその受けた日です。処分の日ではありません。
第三項には別の期限があります。処分があった日の翌日から起算して1年を経過したときも、することができません(正当な理由があるときを除く)。3か月の期限と1年の期限は別々に働きます。
何を書くか
第八十一条第一項が記載事項を挙げています。
| # | 記載事項 |
|---|---|
| 一 | 再調査の請求に係る処分の内容 |
| 二 | 処分があったことを知った年月日(通知を受けた場合はその受けた年月日) |
| 三 | 再調査の請求の趣旨および理由 |
| 四 | 再調査の請求の年月日 |
期間経過後に請求する場合は、第二項により正当な理由も記載しなければなりません。
不備があるときは、再調査審理庁が相当の期間を定めて補正を求めます(第三項)。不備が軽微なときは職権で補正できます。補正しない場合や、不適法で補正できないことが明らかなときは、審理手続を経ないで却下できます(第五項)。
意見を口頭で述べられる
第八十四条第一項です。再調査の請求人または参加人から申立てがあった場合、再調査審理庁は口頭で意見を述べる機会を与えなければならないとされています(申立人の所在その他の事情により機会を与えることが困難と認められる場合を除きます)。
申立てをした者は、再調査審理庁の許可を得て補佐人とともに出頭することができます(第三項)。証拠書類・証拠物の提出もできます(第六項)。
ただし、期日と場所を指定するのは再調査審理庁です(第二項)。
決定の3つの型
第八十三条です。
- 第一項 却下(期間経過後その他不適法な場合)
- 第二項 棄却(理由がない場合)
- 第三項 取消しまたは変更(理由がある場合)
第三項にはただし書があります。再調査の請求人の不利益に処分を変更することはできない。不服を申し立てたことで、かえって重くなることはありません。
決定は主文と理由を記載した再調査決定書によります(第八十四条第七項)。処分の全部または一部を維持する場合には、その維持される処分を正当とする理由が明らかにされていなければならないとされています(第八項)。
3か月で動かなければ、審査請求へ
第七十五条第四項です。再調査の請求をしている者は、次のいずれかに当たるときは、決定を経ないで国税不服審判所長に審査請求をすることができます。
- 一 再調査の請求をした日(補正を求められた場合は補正した日)の翌日から起算して3か月を経過しても決定がないとき
- 二 その他、決定を経ないことにつき正当な理由があるとき
さらに第百十一条は、3か月を経過しても係属しているときは、再調査審理庁のほうから「直ちに審査請求ができる旨」を書面で教示しなければならないとしています。
決定を経た後になお不服があるときは、第七十五条第三項により審査請求ができます。この場合の期間は、再調査決定書の謄本の送達があった日の翌日から起算して1か月です(第七十七条第二項)。3か月ではありません。
実務でよく相談を受ける点
- 再調査の請求を挟むか、いきなり審査請求に行くか。処分をした人がもう一度見るという性質をどう評価するかの判断です。
- 事実関係の誤認が明らかな事案と、法令解釈が争点の事案とでは、選び方が変わります。
- 期限は3か月です。迷っている間に過ぎます。
処分の通知を受け取った段階でご相談いただければ、どのルートを取るかを一緒に決められます。
根拠条文
- 国税通則法第75条(国税に関する処分についての不服申立て)
- 国税通則法第77条(不服申立期間)
- 国税通則法第81条(再調査の請求書の記載事項等)
- 国税通則法第83条(決定)
- 国税通則法第84条(決定の手続等)
- 国税通則法第111条(三月後の教示)
条文の見出しは e-Gov 法令検索の法令データで確認しています。
本稿は2026年8月31日時点の法令に基づく一般的な解説です。実行の前に必ず個別にご相談ください。
記載には注意を払っていますが、誤りにお気づきの際はお問い合わせよりご一報いただけると幸いです。










