Basics of International Taxation

事業基準とは(経済活動基準)

経済活動基準の4つのうち、最初に引っかかるのが事業基準です。持株会社、知財管理会社、船舶・航空機のリース会社。この形をとった時点で、原則として基準を満たしません。

条文

租税特別措置法第66条の6第2項第3号イ。

株式等若しくは債券の保有工業所有権その他の技術に関する権利、特別の技術による生産方式若しくはこれらに準ずるもの(これらの権利に関する使用権を含む。)若しくは著作権(出版権及び著作隣接権その他これに準ずるものを含む。)の提供又は船舶若しくは航空機の貸付け主たる事業とするもの(次に掲げるものを除く。)でないこと

「でないこと」で終わる、否定形の要件です。掲げられた事業を主たる事業とすると、この基準を満たしません。

対象となる事業 典型
株式等・債券の保有 持株会社、投資会社
工業所有権等・著作権の提供 知財管理会社、ライセンス会社
船舶・航空機の貸付け リース会社

「主たる事業」であることが要件です。副次的に株式を持っているだけでは当たりません。

除外は3つある

条文は「(次に掲げるものを除く。)」として、3つの受け皿を置いています。

(1)統括会社

株式等の保有を主たる事業とする外国関係会社のうち当該外国関係会社が他の法人の事業活動の総合的な管理及び調整を通じてその収益性の向上に資する業務として政令で定めるもの(……「統括業務」という。)を行う場合における当該他の法人として政令で定めるものの株式等の保有を行うものとして政令で定めるもの

地域統括会社の救済規定です。ただし政令の要件は細かく、3つの階層で絞られています。

① 統括業務とは何か(措令39条の14の3第17項)

被統括会社との間における契約に基づき行う業務のうち当該被統括会社の事業の方針の決定又は調整に係るもの(当該事業の遂行上欠くことのできないものに限る。)であつて、当該外国関係会社が二以上の被統括会社に係る当該業務を一括して行うことによりこれらの被統括会社の収益性の向上に資することとなると認められるもの

「契約に基づき」「2以上」「一括して」が要件です。なんとなく指示を出しているだけでは足りません。

② 被統括会社とは何か(同18項)

要件が3段になっています。

まず、グループ内の会社であることが前提です。18項は「次に掲げる法人で」と書き出し、1号〜3号で範囲を絞ります。

……判定株主等……が法人を支配している場合における当該法人(……「子会社」という。)

判定株主等及び子会社が法人を支配している場合における当該法人(……「孫会社」という。)

判定株主等並びに子会社及び孫会社が法人を支配している場合における当該法人

判定株主等は、その外国関係会社、その外国関係会社に係る内国法人、および間接保有の連鎖に介在する外国法人It is.支配関係にある子会社・孫会社・ひ孫会社に限られます(「支配している」の意義は法人税法施行令4条3項の準用。同19項)。

資本関係のない取引先に25%出資して統括契約を結んでも、被統括会社にはなりません。

そのうえで、持株割合と議決権割合のいずれも25%以上その法人が内国法人である場合は50%以上)であり、かつその本店所在地国にその事業を行うに必要と認められる当該事業に従事する者を有することが必要です。

内国法人だけ50%です。ここを25%で読むと判定を誤ります。

③ 統括会社とは何か(同20項)

一の内国法人によつてその発行済株式等の全部を直接又は間接に保有されている外国関係会社で次に掲げる要件を満たすもの

当該外国関係会社に係る複数の被統括会社外国法人である二以上の被統括会社を含む場合に限る。)に対して統括業務を行つていること。

その本店所在地国に統括業務に係る事務所、店舗、工場その他の固定施設及び当該統括業務を行うに必要と認められる当該統括業務に従事する者専ら当該統括業務に従事する者に限るものとし、当該外国関係会社の役員及び当該役員に係る法人税法施行令第72条各号に掲げる者を除く。)を有していること。

入口が「一の内国法人による100%保有」です。合弁は入りません。

そして2号の人的要件が厳しい。「専ら統括業務に従事する者」で、しかも役員とその親族等は数えません。兼務の管理職を1人置いただけでは足りない構造です。

さらに株式保有型の統括会社には、20項の括弧書きで2段の割合要件が課されています。分母を取り違えないでください。

分子 分母 判定
1段目 被統括会社の株式等の帳簿価額の合計額 保有する株式等全体の帳簿価額の合計額 50%を超えること
2段目(いずれか) 外国法人である被統括会社の株式等の帳簿価額の合計額 被統括会社の株式等の帳簿価額の合計額 50%を超えること
2段目(いずれか) 外国法人である被統括会社に対して行う統括業務に係る対価の額の合計額 被統括会社に対して行う統括業務に係る対価の額の合計額 50%を超えること

1段目を満たし、かつ、2段目の2つのうちいずれかを満たすことが必要です。条文は「……を超える場合で、かつ、……いずれかが百分の五十を超える場合における当該統括会社に限る」と書いています。

2段目の分母は「被統括会社分の合計」です。保有株式全体でも、売上全体でもありません。帳簿価額はいずれも事業年度終了の時の貸借対照表に計上されている額で見ます。

(2)外国金融持株会社等

株式等の保有を主たる事業とする外国関係会社のうち、7号の読み替え適用により外国金融子会社等に該当することとなるもの(外国金融機関に該当することとなるもの及び(1)に掲げるものを除く)。

(3)航空機リース

航空機の貸付けを主たる事業とする外国関係会社のうち、政令で定める要件を満たすもの。措令39条の14の3第23項が3つの数値要件を置いています。

要件
1号 役員又は使用人が本店所在地国において航空機の貸付けを的確に遂行するために通常必要と認められる業務の全てに従事していること
2号 業務委託対価の支払額の合計額 ÷ 業務従事者の人件費の合計額 が30%を超えていないこと
3号 業務従事者の人件費の合計額 ÷(航空機貸付収入 − 償却費)が5%を超えていること

2号は「超えていないこと」、3号は「超えていること」です。不等号の向きが逆になっています。

3号の分母には括弧書きがあります。「当該残額がない場合には、当該人件費の額の合計額に相当する金額」。償却費が収入を上回って残額がない年は、分母が人件費相当額に置き換わるので、割合は100%となり要件を満たします。分母がゼロで計算不能、ではありません。

船舶の貸付けには、この受け皿がありません。条文が航空機だけを挙げています。

事業基準を満たさないとどうなるか

specified foreign subsidiary companyに該当する場合を除き、対象外国関係会社になります(2項3号の括弧書き)。会社単位で適用対象金額の全部が合算対象です。

However,租税負担割合が20%以上なら適用免除です(7項2号)。そして事業基準を満たさなくても、部分合算の対象にはなりません。部分対象外国関係会社は「3号イからハまでに掲げる要件の全てに該当する外国関係会社」(2項6号)だからです。

Where people tend to get lost in practical work

  • 持株会社にしていますが実体はあります。事業基準は実体の有無を問いません。事業の種類で決まります
  • 地域統括会社にすれば大丈夫か。統括業務・被統括会社・統括会社の3階層すべての政令要件を満たす必要があります
  • 被統括会社は25%でよいか。内国法人は50%です
  • 統括業務の担当者は兼務でよいか。「専ら従事する者」で、役員とその親族等は除かれます
  • 船舶リースは救われるか。(3)は航空機だけです
  • 合弁の統括会社は。20項は「一の内国法人による発行済株式等の全部の保有」を求めています

事業基準は、会社の形を決めた時点でほぼ答えが出ます。海外に持株会社や知財管理会社を作る前、あるいは既にお持ちの場合は、統括会社の要件を満たす設計になっているかの点検からご相談ください。

根拠条文

  • 租税特別措置法第66条の6第2項第3号イ(事業基準)、第2項第6号(部分対象外国関係会社)、第7項第2号(適用免除)
  • 租税特別措置法施行令第39条の14の3第17項(統括業務)、第18項(被統括会社)、第19項(法人税法施行令4条3項の準用)、第20項(統括会社)、第21項(100%保有の判定)、第23項(航空機の貸付けの要件)、第33項(判定の時期)
  • 法人税法施行令第72条(役員に係る者)

外国金融子会社等に関する(2)の細目、保険業に関する特例は本稿では扱っていません。個別の判定には事業の内容と資本関係の確認が必要です。

本稿は2026年9月6日時点の法令に基づく一般的な解説です。実行の前に必ず個別にご相談ください。

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