Taxation of corporate reorganization

組織再編で株主に生じるみなし配当と譲渡損益とは

条文の定義

合併や分割型分割があったとき株式を持っていた株主に何が起こるかは、性格の異なる2つの条文が別々に定めています。ひとつは、受け取った資産のうち株式対応部分を超える金額を配当とみなす法人税法24条、もうひとつは株式そのものの譲渡損益を定める法人税法61条の2です。まず24条を確認します。

法人(公益法人等及び人格のない社団等を除く。以下この条において同じ。)の株主等である内国法人が当該法人の次に掲げる事由により金銭その他の資産の交付を受けた場合において、その金銭の額及び金銭以外の資産の価額(適格現物分配に係る資産にあつては、当該法人のその交付の直前の当該資産の帳簿価額に相当する金額)の合計額が当該法人の資本金等の額のうちその交付の基因となつた当該法人の株式又は出資に対応する部分の金額を超えるときは、この法律の規定の適用については、その超える部分の金額は、第二十三条第一項第一号又は第二号(受取配当等の益金不算入)に掲げる金額とみなす。一 合併(適格合併を除く。)二 分割型分割(適格分割型分割を除く。)

この条文が対象としているのは、法人である株主等(内国法人)が、合併や分割型分割などの事由により金銭その他の資産の交付を受けた場合です。交付を受けた金銭の額と金銭以外の資産の価額の合計額が資本金等の額のうち株式に対応する部分を超えるときは、その超える部分を配当とみなします。適格合併・適格分割型分割はそれぞれ除かれており、これらに当たる場合は配当とみなされる金額は生じません。

この条文の対象は「内国法人」である株主等に限られます。

骨格

Issue 条文の定め
合併・分割型分割で金銭その他の資産の交付を受けた場合のみなし配当 法人税法24条
株式の交付が省略された無対価の合併・分割型分割でのみなし配当の適用 法人税法24条
みなし配当の額の計算方法その他必要な事項の政令への委任 法人税法24条
有価証券の譲渡損益の原則的な計算方法 法人税法61条の2
金銭等不交付合併により合併法人等の株式の交付を受けた場合の譲渡損益 法人税法61条の2
分割型分割により株式その他の資産の交付を受けた場合の譲渡損益 法人税法61条の2
分割純資産対応帳簿価額の計算方法 法人税法施行令119条の8

合併と分割型分割でみなし配当が生じるのはどんな場合か

分割型分割の定義は法人税法2条に置かれており、対価となる株式が交付される場合のほか、無対価の分割も含まれます。

分割対価資産がない分割(以下この号及び次号において「無対価分割」という。)で、その分割の直前において、分割承継法人が分割法人の発行済株式等の全部を保有している場合又は分割法人が分割承継法人の株式を保有していない場合の当該無対価分割

分割対価資産が全くない無対価分割でも、分割承継法人が分割法人の発行済株式等の全部を保有している場合、又は分割法人が分割承継法人の株式を保有していない場合は、分割型分割として扱われます。

無対価の合併・分割型分割についても、24条は次のとおり手当てをしています。

合併法人又は分割法人が被合併法人の株主等又は当該分割法人の株主等に対し合併又は分割型分割により株式その他の資産の交付をしなかつた場合においても、当該合併又は分割型分割が合併法人又は分割承継法人の株式の交付が省略されたと認められる合併又は分割型分割として政令で定めるものに該当するときは、政令で定めるところによりこれらの株主等が当該合併法人又は分割承継法人の株式の交付を受けたものとみなして、第一項の規定を適用する。

この規定により、省略されたと認められる合併・分割型分割については、無対価であることそのものはみなし配当が生じない理由にはならず、株主等が株式の交付を受けたものとみなされます。適格の場合はそもそも対象事由に含まれずみなし配当は生じませんが、非適格でも、交付を受けた資産の合計額が株式対応部分を超えなければみなし配当は生じません。適格分割の要件は適格分割You can check with.

金銭等不交付合併・金銭等不交付分割型分割ではなぜ株式の譲渡損益が生じないのか

株式そのものの譲渡損益は、法人税法61条の2が定めています。原則は次のとおりです。

内国法人が有価証券の譲渡をした場合には、その譲渡に係る譲渡利益額(第一号に掲げる金額が第二号に掲げる金額を超える場合におけるその超える部分の金額をいう。)又は譲渡損失額(同号に掲げる金額が第一号に掲げる金額を超える場合におけるその超える部分の金額をいう。)は、第六十二条から第六十二条の五まで(合併等による資産の譲渡)の規定の適用がある場合を除き、その譲渡に係る契約をした日(その譲渡が剰余金の配当その他の財務省令で定める事由によるものである場合には、当該剰余金の配当の効力が生ずる日その他の財務省令で定める日)の属する事業年度の所得の金額の計算上、益金の額又は損金の額に算入する。

合併や分割型分割で株式を交付されることは、旧株の譲渡と新株の取得が同時に起きる場面として扱われ、原則どおりなら対価の額と原価の額の差額が譲渡損益になります。金銭等の交付がない場合は、この譲渡損益が生じない仕組みが61条の2に置かれています。分割型分割については次のとおりです。

内国法人が所有株式(当該内国法人が有する株式をいう。以下この項において同じ。)を発行した法人の行つた分割型分割により分割承継法人の株式その他の資産の交付を受けた場合には、当該所有株式のうち当該分割型分割により当該分割承継法人に移転した資産及び負債に対応する部分の譲渡を行つたものとみなして、第一項の規定を適用する。

株主は所有株式のうち移転した部分を譲渡したものとみなされます。金銭等不交付分割型分割とは、株式以外の資産が交付されず、かつ「当該株式が分割法人の発行済株式等の総数又は総額のうちに占める当該分割法人の各株主等の有する当該分割法人の株式の数又は金額の割合に応じて交付されたものに限る」分割型分割をいい、これに当たるときは次のとおりです。

とし、その分割型分割(金銭等不交付分割型分割に限る。)により分割承継法人又は親法人の株式の交付を受けたときにおける第一項の規定の適用については、同項各号に掲げる金額は、いずれもその所有株式の当該分割型分割の直前の分割純資産対応帳簿価額とする。

この場合、対価の額・原価の額はいずれも同じ分割純資産対応帳簿価額とされ、両者が同じなら譲渡損益は生じません。分割純資産対応帳簿価額の計算方法は法人税法施行令119条の8に置かれています。

法第六十一条の二第四項(有価証券の譲渡益又は譲渡損の益金又は損金算入)に規定する政令で定めるところにより計算した金額は、同項に規定する所有株式を発行した法人の行つた分割型分割の直前の当該所有株式の帳簿価額に当該分割型分割に係る第二十三条第一項第二号(所有株式に対応する資本金等の額の計算方法等)に規定する割合を乗じて計算した金額とする。

合併にも同様の定めがあり、金銭等不交付合併は次のとおり定義されています。

を発行した法人の合併(当該法人の株主等に合併法人又は合併法人との間に当該合併法人の発行済株式若しくは出資(自己が有する自己の株式を除く。以下この条において「発行済株式等」という。)の全部を直接若しくは間接に保有する関係として政令で定める関係がある法人のうちいずれか一の法人の株式以外の資産(当該株主等に対する第二条第十二号の八(定義)に規定する剰余金の配当等として交付された金銭その他の資産及び合併に反対する当該株主等に対するその買取請求に基づく対価として交付される金銭その他の資産を除く。)が交付されなかつたものに限る。以下この項及び第六項において「金銭等不交付合併」という。)により当該株式の交付を受けた場合又は旧株を発行した法人の特定無対価合併(当該法人の株主等に合併法人の株式その他の資産が交付されなかつた合併で、当該法人の株主等に対する合併法人の株式の交付が省略されたと認められる合併として政令で定めるものをいう。以下この項において同じ。)により当該旧株を有しないこととなつた場合における前項の規定の適用については、同項第一号に掲げる金額は、これらの旧株の当該金銭等不交付合併又は特定無対価合併の直前の帳簿価額に相当する金額とする。

剰余金の配当等や買取請求に基づく対価は、株式以外の資産には含まれません。対価の額・原価の額はいずれも旧株の合併直前の帳簿価額に相当する金額とされるため両者が一致し、譲渡損益は生じません。金銭その他の資産が交付された非適格の合併になった場合の扱いは非適格合併になるとどうなるかYou can check with.

みなし配当とされた金額は株式の譲渡損益からどう除かれるのか

受け取るものの中に金銭その他の資産が含まれる場合は、みなし配当と株式の譲渡損益の両方が問題になります。この重複を避ける手当てが、譲渡対価の額を定める部分に置かれています。

その有価証券の譲渡の時における有償によるその有価証券の譲渡により通常得べき対価の額(第二十四条第一項(配当等の額とみなす金額)の規定により第二十三条第一項第一号又は第二号(受取配当等の益金不算入)に掲げる金額とみなされる金額がある場合には、そのみなされる金額に相当する金額を控除した金額)

有価証券の譲渡により通常得べき対価の額は、24条によりみなし配当とされる金額があるときは、その金額を控除した金額とされ、あらかじめ譲渡対価から除かれる仕組みです。

非適格の合併・分割型分割で資産の一部がみなし配当に当たる場合は、まず24条でみなし配当の額を確定し、控除した残りを譲渡対価として譲渡損益を計算します。組織再編税制全体の中での位置づけは組織再編税制の全体像I am organizing with.

実務で迷いが生じるところ

  • 個人が株主である場合は所得税法に別の定めがあり、本稿では扱っていません。
  • 無対価の合併・分割型分割で株式の交付が省略されたと認められるかは、政令で定める要件に照らして確認する必要があります。
  • 金銭等不交付分割型分割に当たるかは、株式以外の資産が交付されていないかに加え、按分交付かの確認も必要です。金銭等不交付合併では、株式以外の資産が交付されていないかを確認します。
  • 分割純資産対応帳簿価額の計算に用いる割合は、分割法人からの通知で把握します。
  • 適格合併・適格分割型分割そのものに当たるかどうかの判定は、本稿では扱っていません。

根拠条文

  • 法人税法第24条第1項柱書(配当等の額とみなす金額)/引用した文言:「法人(公益法人等及び人格のない社団等を除く。以下この条において同じ。)の株主等である内国法人が当該法人の次に掲げる事由により金銭その他の資産の交付を受けた場合において、その金銭の額及び金銭以外の資産の価額(適格現物分配に係る資産にあつては、当該法人のその交付の直前の当該資産の帳簿価額に相当する金額)の合計額が当該法人の資本金等の額のうちその交付の基因となつた当該法人の株式又は出資に対応する部分の金額を超えるときは、この法律の規定の適用については、その超える部分の金額は、第二十三条第一項第一号又は第二号(受取配当等の益金不算入)に掲げる金額とみなす。」
  • 法人税法第24条第1項第1号(配当等の額とみなす金額)/引用した文言:「合併(適格合併を除く。)」
  • 法人税法第24条第1項第2号(配当等の額とみなす金額)/引用した文言:「分割型分割(適格分割型分割を除く。)」
  • 法人税法第24条第3項(配当等の額とみなす金額)/引用した文言:「合併法人又は分割法人が被合併法人の株主等又は当該分割法人の株主等に対し合併又は分割型分割により株式その他の資産の交付をしなかつた場合においても、当該合併又は分割型分割が合併法人又は分割承継法人の株式の交付が省略されたと認められる合併又は分割型分割として政令で定めるものに該当するときは、政令で定めるところによりこれらの株主等が当該合併法人又は分割承継法人の株式の交付を受けたものとみなして、第一項の規定を適用する。」
  • 法人税法第2条第12号の9ロ(分割型分割の定義・無対価分割)/引用した文言:「その分割の直前において、分割承継法人が分割法人の発行済株式等の全部を保有している場合又は分割法人が分割承継法人の株式を保有していない場合の当該無対価分割」
  • 法人税法第61条の2第1項柱書(有価証券の譲渡益又は譲渡損の益金又は損金算入)/引用した文言:「内国法人が有価証券の譲渡をした場合には、その譲渡に係る譲渡利益額(第一号に掲げる金額が第二号に掲げる金額を超える場合におけるその超える部分の金額をいう。)又は譲渡損失額(同号に掲げる金額が第一号に掲げる金額を超える場合におけるその超える部分の金額をいう。)は、第六十二条から第六十二条の五まで(合併等による資産の譲渡)の規定の適用がある場合を除き、その譲渡に係る契約をした日(その譲渡が剰余金の配当その他の財務省令で定める事由によるものである場合には、当該剰余金の配当の効力が生ずる日その他の財務省令で定める日)の属する事業年度の所得の金額の計算上、益金の額又は損金の額に算入する。」
  • 法人税法第61条の2第1項第1号(有価証券の譲渡益又は譲渡損の益金又は損金算入)/引用した文言:「その有価証券の譲渡の時における有償によるその有価証券の譲渡により通常得べき対価の額(第二十四条第一項(配当等の額とみなす金額)の規定により第二十三条第一項第一号又は第二号(受取配当等の益金不算入)に掲げる金額とみなされる金額がある場合には、そのみなされる金額に相当する金額を控除した金額)」
  • 法人税法第61条の2第2項(有価証券の譲渡益又は譲渡損の益金又は損金算入)/引用した文言:「内国法人が、旧株(当該内国法人が有していた株式(出資を含む。以下この条において同じ。)をいう。以下この項において同じ。)を発行した法人の合併(当該法人の株主等に合併法人又は合併法人との間に当該合併法人の発行済株式若しくは出資(自己が有する自己の株式を除く。以下この条において「発行済株式等」という。)の全部を直接若しくは間接に保有する関係として政令で定める関係がある法人のうちいずれか一の法人の株式以外の資産(当該株主等に対する第二条第十二号の八(定義)に規定する剰余金の配当等として交付された金銭その他の資産及び合併に反対する当該株主等に対するその買取請求に基づく対価として交付される金銭その他の資産を除く。)が交付されなかつたものに限る。以下この項及び第六項において「金銭等不交付合併」という。)により当該株式の交付を受けた場合又は旧株を発行した法人の特定無対価合併(当該法人の株主等に合併法人の株式その他の資産が交付されなかつた合併で、当該法人の株主等に対する合併法人の株式の交付が省略されたと認められる合併として政令で定めるものをいう。以下この項において同じ。)により当該旧株を有しないこととなつた場合における前項の規定の適用については、同項第一号に掲げる金額は、これらの旧株の当該金銭等不交付合併又は特定無対価合併の直前の帳簿価額に相当する金額とする。」
  • 法人税法第61条の2第4項前段(有価証券の譲渡益又は譲渡損の益金又は損金算入)/引用した文言:「内国法人が所有株式(当該内国法人が有する株式をいう。以下この項において同じ。)を発行した法人の行つた分割型分割により分割承継法人の株式その他の資産の交付を受けた場合には、当該所有株式のうち当該分割型分割により当該分割承継法人に移転した資産及び負債に対応する部分の譲渡を行つたものとみなして、第一項の規定を適用する。」
  • 法人税法第61条の2第4項(有価証券の譲渡益又は譲渡損の益金又は損金算入・金銭等不交付分割型分割)/引用した文言:「その分割型分割(第二条第十二号の九イに規定する分割対価資産として分割承継法人又は分割承継法人との間に当該分割承継法人の発行済株式等の全部を直接若しくは間接に保有する関係として政令で定める関係がある法人(以下この項において「親法人」という。)のうちいずれか一の法人の株式以外の資産が交付されなかつたもの(当該株式が分割法人の発行済株式等の総数又は総額のうちに占める当該分割法人の各株主等の有する当該分割法人の株式の数又は金額の割合に応じて交付されたものに限る。以下この項において「金銭等不交付分割型分割」という。)を除く。)により分割承継法人の株式その他の資産の交付を受けたときにおける第一項の規定の適用については、同項第二号に掲げる金額は、その所有株式の当該分割型分割の直前の帳簿価額を基礎として政令で定めるところにより計算した金額(以下この項において「分割純資産対応帳簿価額」という。)とし、その分割型分割(金銭等不交付分割型分割に限る。)により分割承継法人又は親法人の株式の交付を受けたときにおける第一項の規定の適用については、同項各号に掲げる金額は、いずれもその所有株式の当該分割型分割の直前の分割純資産対応帳簿価額とする。」
  • 法人税法施行令第119条の8第1項(分割型分割の場合の譲渡対価の額及び譲渡原価の額等)/引用した文言:「法第六十一条の二第四項(有価証券の譲渡益又は譲渡損の益金又は損金算入)に規定する政令で定めるところにより計算した金額は、同項に規定する所有株式を発行した法人の行つた分割型分割の直前の当該所有株式の帳簿価額に当該分割型分割に係る第二十三条第一項第二号(所有株式に対応する資本金等の額の計算方法等)に規定する割合を乗じて計算した金額とする。」

本稿は2026年9月7日時点の法令に基づく一般的な解説です。実行の前に必ず個別にご相談ください。

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