| 法人税法(租税特別措置法)上、正確には「国外支配株主等に係る負債の利子の課税の特例」といいます。つまり、日本で事業を行う外国法人の子会社(いわゆる外資系企業)の資金調達の方法として、親会社からの「出資」または「借入金」という方法が考えられるわけですが、この場合、親会社からの出資を少なめにし、その分借入金を多くすれば(過小資本の状態)、法人税法上、出資に対する配当は経費になりませんが、借入の利子は経費として損金算入可能であることから、資本を過小にし租税回避を図ることに対処し課税の適正化・明確化を図るために設けられた規定が過小資本税制です。
過小資本税制が適用された場合、国外支配株主等(海外の親会社)に対する利付負債の平均残高が国外支配株主等のその内国法人等(日本の子会社)に対する資本持分の3倍を超える場合には、その事業年度において国外支配株主等に支払う負債の利子のうち、その超過額に対応する部分の金額は、損金不算入となります。
いわゆるクロスボーダー取引(海外取引)を行う貿易業者、輸入販売業者のタックスプランニングにおいて、特に重要視される日本の税制は、(1)タックスヘイブン税制、(2)移転価格税制、(3)過小資本税制の3つの税制です。もちろん諸外国の税制も重要な検討事項であることはいうまでもありません。
他のTopicsでも触れていますが、納税者の中にはなるべくなら税額を最小化しようとし、脱税、租税回避、節税を図る方がいます。これは経済理論としてまた実務上も当然理解できる行動です。脱税は明らかに脱法行為ですから当局は立件可能ですが、租税回避は脱法行為ではありませんので、税務当局はあらかじめ租税回避防止の税法を法律化する必要があります。これはわが国に限らず、租税法律主義の国家においては必ずといっていいほど行われる作業であると思います。
「税法はイタチゴッコ」といわれる所以は、まさに租税回避の歴史であるといえるのではないでしょうか。
私見ですが、日本国憲法が租税法律主義をうたっているにもかかわらず、租税回避防止目的の税制には「実態基準」という極めて行政裁量的な規定が設けられていることが多いように感じます。
税法がひとたび「実態」を規定に盛り込んでしまうと、「実態」については人の判断という極めて曖昧で租税法律主義にある意味反する現象が生じえます。
税務当局の立場に立てば、個々の案件により租税回避防止の判断は実態を見るしかないのだという主張もわからなくはないのですが、税法に「実態基準」を組み込むこと自体が違憲となる可能性を検討すべきなのではないかと思います。 |